住宅の不具合調査から・・・

昨年は住宅の不具合の原因調査の依頼が何度かありました。
その中の一つが大雨や台風時に床下に水が侵入するというものでした。
建物のオーナーがたまたま台風の後にキッチンの床下収納から床下をのぞいてみたら、ベタ基礎の上に広範囲にわたって水たまりができていて、異常を発見したものです。

調べてみると、床下に埋まっている使用していない排水管が原因でした。
排水管の先端が基礎の外側で切りっぱなしになっていて、大雨が降るとこの排水管を通じて大量の水が床下に流れ込んでいたのです。
1年程前に行ったというリフォーム工事が原因と思われるものでした。
たまたま早く気付いたので大事にはなりませんでしたが、このまま数年間放置していたら大変な事になっていたと思われます。

また、雨漏りの調査依頼もありました。
バルコニー下の居室の天井から雨漏りするというものでした。
調査を行ってみると、バルコニーの防水には不具合は見当たらなかったのですが、バルコニー手摺壁にあけた穴が原因でした。
バルコニーの手摺壁に穴をあける事例は、デザイン面や通風の目的でよくある事ですが、施工時に十分留意しないと雨漏りリスクが非常に高くなるので要注意です。
これと同様に、壁から突き出た化粧梁や、最近多い軒の出のない屋根などをデザイン上採用する場合にも注意が必要です。

この様なデザインを採用する場合には、当然設計者は雨漏りリスクがある事を認識して、十分な監理を行うべきなのですが、住宅現場では実際のところ施工者に任せっきりというケースがほとんどです。
中には雨漏りリスクがある事すらわからずに、図面を描いている設計者もいます。

そしてさらに問題なのは、住宅現場の現場監督には素人の様な人達もたくさんいるという事なのです。
仮に経験豊富で建築の資格を持った担当者だったとしても、住宅現場の現場監督は同時に数棟の現場管理を行っているのが普通なので、十分に管理が行き届きません。
結局は職人や大工任せになってしまいます。

住宅業界に「絶対安心」は存在しない!

この様に私が昨年行った不具合調査の原因は、ほとんどがきちんと施工管理を行っていれば防げたはずのものでした。
そして住宅業界やリフォーム業界の一番の問題点は、技術はなくても営業力があれば簡単に参入できてしまう事です。
たとえ住宅の新築工事であっても、下請けの設計事務所や工務店に丸投げしてしまえば家を建てる事自体は可能です。

欠陥住宅が生まれる原因は、ほとんどが人為的なミスや経験不足、スキル不足で、決して意図的に欠陥住宅を造ろうとしている訳ではありません。
しかし住宅・リフォーム業界には、この様なミスが発生しやすい背景があるのも事実です。
「住宅会社に任せておけば安心」などという事は決してないのです。

バルコニースリット

バルコニー壁にこの様な穴を開けると雨漏りリスクが高くなるので、施工の際には十分な配慮が必要
※写真と本文は関係ありません。

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