台風で雨漏りしてしまったらやっておくべきこと

今年9月9日未明に千葉市に上陸した台風15号で観測された風速は弊社がある千葉市中央区が最も大きく、最大風速は35.9m/秒、最大瞬間風速は実に57.5m/秒(時速207km)に達したといいます。
最大瞬間風速が50m/秒を超えると、老朽化した木造住宅やブロック塀が倒壊するといわれ、実際に9日朝には千葉市中央区内でブロック塀や自動販売機が倒れているのを数か所で見かけました。

県内での住宅被害は3,000棟以上に達し、2か月近く経った現在でも屋根にブルーシートがかかった建物を多く見かけます。
最も多かった建物被害は瓦などの屋根材の飛散ですが、中には小屋組みごと吹き飛んでしまった住宅もありました。

また、雨漏り被害も数多く発生しました。
そして予想通り、軒の出の少ない家ほど台風による雨漏りが顕著だった様で、弊社にも雨漏り調査の依頼がありました。

近年では都心の狭小地や住宅密集地を中心に、洗練されたデザインを売り物にした軒の出の少ない住宅が人気ですが、軒の出が少ないと外壁に直接あたる雨水の量が増えてしまうので、特に台風などの強風時には雨漏りのリスクが非常に高くなります。
また軒の出の少ない住宅は紫外線を多く受けるので、外壁の塗膜やシーリングの劣化も早くなります。

通常の雨ならそれほど問題はないのですが、台風時には外壁に直接強く雨水が吹きつける様になるので、外壁や窓周りに亀裂やシーリングが劣化している部分があると、その部分からすぐに雨漏りしてしまいます。

台風による雨漏りは工事保証の対象外?

では台風で雨漏りしてしまった際には、建築した住宅会社の工事保証を受けられるのでしょうか?

住宅会社が発行する工事保証書には保証基準や免責事項が記載されていますが、ほとんどの住宅会社では自然現象の影響によるものは免責となっていて、その中には地震、津波、落雷、土砂崩れなどと共に台風、暴風雨、豪雨などが含まれています。
したがって台風による雨漏りは保証対象外となってしまうことが多いので注意が必要です。

建築した住宅会社に雨漏り調査を依頼しても、「台風が原因だと思われるので、しばらく様子をみてください」などと言われてしまうことが多いと思います。

ただし火災保険で雨漏りの原因が風災として認定されれば、保険を使って修理できることもあるので、保険会社に問い合わせてみると良いでしょう。

また台風で雨漏りした場合には、以前から普段の雨でも雨漏りしていた可能性があります。
雨水が侵入する量が少ないため室内に雨漏りしていないだけで、壁の中や床下などに雨水が侵入している可能性があります。
屋根材が破損したりひび割れしたりしていないか、雨樋が詰まっていないか、外壁に亀裂がないか、シーリングが劣化して隙間ができていないか、壁材が湿気を含んでいないか、壁や収納内部にカビが発生していないか、などを点検しておく必要があります。

台風の時だけだからといって雨漏りを放置しておくと、気付かないうちに壁の中や天井裏が腐食してしまったりカビだらけになってしまったりするので、しばらく注意深く様子を見ることが大切です。

またこの様な雨漏りリスクを避けるためにも、単にかっこがいいという理由だけで安易に軒の出の少ない家を建てない様にして欲しいと思います。
今後も過去に類のない大型の台風の上陸や集中豪雨の恐れがあるので、「今まで大丈夫だったから」などとは決して言っていられません。

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日経ホームビルダー 2006年12月号特集
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