木造住宅の耐震性は築何年までなら安心か?

本日の午前5時前に、強い風雨を伴う台風15号が千葉市付近に上陸し、多数の建物被害が出ている様子です。
中心付近の最大風速は40メートルとのことで、関東に上陸した台風としては統計開始以来、最強クラスだそうです。
通勤途中には、建築現場の仮囲いや自動販売機などが倒壊しているのを見かけました。
まだ詳しい被害状況はわかっていませんが、大きな被害がなかったことを願っています。

さて、以前は新築偏重だった住宅購入者の嗜好も、国の施策や昨今のリノベーションブームの影響もあって中古住宅購入も視野に入れる方が増えるなど、少しずつ変化してきた様に思います。

弊社が拠点としている千葉県においても、中古住宅購入を検討している方からのご相談やホームインスペクション(住宅診断)の依頼が徐々に増えています。

中古住宅は新築住宅と比べて比較的安い価格で購入することができ、現況を確認してから購入の判断ができるのがメリットです。
また、自由にリフォーム・リノベーションを行うことで、自身のライフスタイルに合わせた住まいにすることが可能になります。

しかしここ10年の間に、新築住宅の性能が大きく向上しているため、耐震性能や省エネ性能などの住宅性能に関しては、現在の新築住宅よりも劣っていることは否めません。

特に耐震性能の面では、旧耐震の住宅に関して、三菱UFJ銀行では住宅ローンを組むことができなくなりました。
まだ他の銀行では住宅ローンの対象になっていますが、どの銀行でも古い住宅については大規模修繕の履歴などがローン審査の条件になっていて、今後いつ住宅ローン対象外となってもおかしくありません。
また木造住宅は、新耐震基準(昭和56年基準)で建てられていても、実際に耐震診断を行うと、その7割以上が「倒壊する可能性が高い」ため耐震補強を要すると診断されます。

昨今では、大地震や洪水、豪雨、台風等の自然災害が発生するたびに建物も大きな被害を受け、「想定外」という言葉が良く使われる様になりました。
以前では予想することができなかったことが、現在ではもはや「想定外」で済ましてしまう訳にはいきません。

特に建物の安全性においては、建築基準法を満たしていても決して安心できず、「想定外」のことが起きることをあらかじめ見込んでおく必要があります。

平成12年5月以前に建築確認申請が行われた木造住宅を購入する際には、耐震診断の有無を確認する!

現在の住宅においては、集中豪雨や台風に対する雨漏り対策と共に、地震対策が欠かせません。
既存建物の耐震性能を判断するモノサシのひとつとして、耐震診断があります。
耐震診断では、現在の建物のコンディションや劣化状況なども判定基準となるため、定期的な修繕・メンテナンスを行っていないと、建築当時の耐震基準を満たしていたとしても、大地震発生時には「倒壊する可能性」が高くなってしまいます。
これは比較的築浅の建物にもいえるので、築年数が浅くても決して安心できません。

また、ホームインスペクションで天井裏や床下の調査を行うと、築10年未満の比較的新しい住宅でも構造材の接合部の施工不良や耐震金物の取り付け不良などもたびたび目にします。

これは中古住宅だからという訳ではなく、新築当時からすでに抱えていた不具合なので、新築住宅であっても決して安心できるとはいえないのです。

結局のところ耐震性能や建物の安全性に関しては、図面上・設計上は問題なくても、施工精度やメンテナンスによってピンキリだといえます。
したがって、築年数だけで購入判断するのは非常に危険です。

たとえ築年数が30年以上経過していても、適切な耐震補強や修繕を行い、安全性の高い中古住宅も存在しています。

しかし、昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認申請が行われた旧耐震基準の物件を積極的に購入しようとする方は少ないと思いますが、たとえ新耐震基準を満たしていても、平成12年(2000年)5月31日以前に建築確認申請が行われた木造住宅については、耐震性能を疑っておいた方が良いでしょう。

このような物件を購入しようとする際には、重要事項説明書の中に耐震診断の有無が記載されているので必ず確認し、もし耐震診断や必要な耐震補強が行われていない様でしたら、ホームインスペクションをおこなって建物の劣化具合の調査を行い、必要に応じて耐震診断を行うことをオススメします。

taisin[1]
想定外の自然災害が多発している昨今では、耐震診断の結果、評点が1.5以上でなければ「安心」とはいえません

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