健全なリフォーム会社

矢野経済研究所が5月25日に発表したデーターによると、2018年第1四半期(1~3月)の住宅リフォーム市場規模は、1兆1946億円で、前年同期比7.6%減と推計されるとの事です。
2019年10月に消費税増税が予定されていることから需要が先送りされたと推測していて、今後増税を見越した大型リフォームなどの需要が顕在化すると見込んでいます。

しかし、2017年度の住宅リフォームの市場規模も前年より減少していて、楽観視できないのが現状でしょう。
年内中に撤退する事業者も多いと思います。

さて私は以前、約20年間住宅会社でリフォーム事業の責任者をしていました。
今でも時々リフォーム会社へのアドバイスやコーチングを行う事があります。

現在、国内には7万社以上の住宅リフォーム会社があるといわれ、様々な業種・業態の事業者が個々の強みを活かして新規参入をし続けています。

この様な厳しい環境の中で、リフォーム会社が生き残り成長し続けていくのは、簡単な事ではありません。
法外な利益を取る業者は論外ですが、経営を維持していくためには適正な利益確保が不可欠です。
万一工事を依頼したリフォーム会社が倒産してしまうと、一番迷惑を被るのは消費者です。
リフォーム会社を選ぶ際には、健全なリフォーム会社を選ぶことが大切です。

健全なリフォーム会社かどうかを見極める6つの経営指標

それでは健全なリフォーム会社とはいったいどの様な業者なのでしょうか。
元請リフォーム会社には、健全に事業を運営していくための重要な目安になる6つの経営指標があります。
1、社員一人当たりの月間粗利益額100万円
  どんなに売り上げがあっても、適正な利益を確保できなければ会社は存続できません。
  会社が存続していくためには、最低限の体力が必要です。
  これが確保できないと、施工品質の改善や社員・協力業者の育成、アフターサービス、
  新規出店などに時間や費用がかけられなくなります。
  やがて施工品質やサービスの質が低下し、顧客や社員が離れていってしまいます。
2、粗利益率30%以上
  元請会社で粗利益率27%以下の場合は、営業利益が赤字になる可能性が高くなります。
  リフォーム会社のほとんどが、見積作成時点では30%以上の粗利益率で設定していますが、
  値引き、見積もり漏れ、発注・施工ミスや請求できない追加工事などがあると、粗利益率
  が下がってしまいます。
  他社との差別化戦略や、社員教育、取引会社の育成などで対策を行います。
3、社員一人あたりの年間売り上げ4,500万円
  粗利益が最も重要な指標ですが、適正な粗利益率かどうかを判断する上で、売り上げ高も
  大切な指標になります。
  なお、社員には事務スタッフや工事担当者、設計担当者も含むので、営業担当者一人
  あたりの売り上げではないので注意が必要です。
4、成約率60%以上
  成約率が低いと生産性が低くなり、経費の比重が高くなるので同じ粗利益率でも
  営業利益が下がります。
  成約率は、会社の経営に大きな影響を及ぼします。
5、適正な顧客比率(顧客別の受注構成)
  会社により目標が異なりますが、新規顧客:OB顧客=5:5が目安です。
  OB顧客の方が販促コスト(広告宣伝費)をかけずに受注できるので、OB訪問や
  アフターフォロー、ニュースレターなどOBとの関係強化を重視する会社が多い
  様ですが、新規顧客が少ないと将来経営が行き詰まる可能性が高くなります。
  一方、OB比率が極端に低い場合は、顧客満足度が低い可能性があります。
  また、新規顧客の中でも紹介が多い会社は顧客満足が高いといえますが、紹介比率が
  高すぎる場合は営業力が弱く、業績が安定しない傾向があるので要注意です。
6、工事単価
  会社が得意とする工事や業種・業態により異なりますが、単価が低いと非効率
  で、経営が逼迫する恐れがあります。
  単価アップのために単品工事を複合工事にグレードアップしたり、社員の提案力や
  プレゼン能力を磨く努力をしている会社が多い様です。
  尚、リフォーム会社の工事単価の平均値は約80万円といわれています。

以上の6つの指標でリフォーム会社を見ると、どういう会社でどこに問題があるのかおおよそわかります。
健全な経営を行っている会社は単に儲かっているだけでなく、経営に余裕が生まれ、顧客満足度の向上や施工の効率アップ、ミスの予防、品質改善、事故リスクの回避などの仕組みづくりを行うことが可能になります。

リフォーム会社選びで失敗しないためには、こうした経営指標も参考にすると良いでしょう。
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