古民家に特化したインスペクションを行う古民家鑑定士

古民家鑑定士という資格があります。古民家に特化したインスペクションをして、鑑定後のメンテナンスを含め、古民家を良い状態で残すためのアドバイスを行うための資格です。

古民家鑑定士への鑑定依頼は、主に地域の古民家再生協会へ問い合わせをします。古民家再生協会は、全国各地域に残る日本の住文化である「古民家」を未来へ継承するための活動を行っている団体で、古民家の品質を調査するインスペクション業務を実施し、調査後に鑑定書を発行します。

古民家鑑定士のインスペクション

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古民家再生協会では築50 年以上経った古い住宅の事を古民家と定義していて、その多くは伝統構法と呼ばれる構法で建てられており、現在の在来工法とは構造の考え方が異なります。(築50 年以上の在来工法の住宅も古民家と呼んでいます)

例えば地震の力をどう逃がすかの考え方の違い。在来工法が耐震構造なのに対して伝統構法は免震構造と言われたりします。

また、在来工法は建築基準法の中で細かな規定が定められているのですが、建築基準法の制定前から存在していた伝統構法には建築基準法上の規定がありません。

かつて私は伝統構法の住宅をスケルトンリフォーム(柱や梁の構造材のみを残して他を全て交換するリフォーム)した経験があるのですが、現在の建築基準法に適合させるために鉄筋コンクリートの基礎を新設し、筋交いや構造用合板、耐震金物でガチガチに固めた耐震補強工事を併せて行いました。

しかしその方法が本当に正しかったのかどうか・・・・。木の骨組が外力を受けてしなり、曲がり、力を逃がす。そんな「柔」な木の使い方をする伝統構法の良さを失わせてしまったのではないかと考えさせられます。

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インスペクションの手法にしても、現在の住宅と伝統構法で建てられた古民家では同じ様にはいきません。例えば壁の傾き。在来工法の場合は傾きの安全値が6/1000 以内とされているところ、伝統構法の場合には12/1000 以内とされています。

かなり大きな傾きになりますが、伝統構法は在来工法と比較して2 倍の大きさの変形まで破壊の許容範囲が広いとの判断なようです。

伝統構法についての取り扱いは現状の建築基準法では明確にされていません。今後法整備が進み、より多くの良質な「古民家」が移築、再生されて受け継がれていける様になる事を願います。

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