部分的なインスペクション

先週後半から今週前半にかけて、ホームインスペクションの調査が続きました。年度末で、不動産の動きも多少活発になっているのでしょうか。
年間を通じて安定的に依頼があるのが理想ですが、なかなか理想通りにはいきません。
現場調査が続くと報告書作成が遅れがちになってしまうので、スケジュール管理をしっかり行い、ご迷惑をお掛けしない様にしないといけません。

さて、インスペクションのお問い合せの中で、部分的な診断・調査のご相談を受ける事があります。
「屋根・外壁の劣化状況を調査して欲しい」、「雨漏れが心配なので見て欲しい」、「白蟻被害があるかどうか見て欲しい」、「家が傾いていないかどうか調べて欲しい」などのご要望です。

建物全体を調査・診断するのではなく、特に不安な部分だけを調べる事で、調査費用を節約したいとの考えもある様です。
もちろんこの様なご要望にもお応えする事は可能なのですが、この様な依頼を受けた際には、依頼者の調査の目的や、調査で期待する効果などを良くお聞きして、調査がより有意義なものになる様に注意を払う必要があると思っています。
部分的な調査だけでは、どうしても片手落ちになる可能性があるためです。

例えば白蟻被害の調査であれば、白蟻駆除業者に依頼すればほとんどの業者は無料で調査を行います。ひと昔前までは無料調査と称して、あたかも白蟻被害を受けているかの様なウソの報告をして依頼者の不安を煽る悪質な業者も数多くいましたが、現在はだいぶ少なくなりました。
またこの様な悪徳業者はほとんどが訪問販売の業者で、きちんと看板を掲げて地元で営業している専門業者であればそれほど心配いりません。
しかし、私達インスペクターは調査する事が仕事なので、白蟻駆除業者の様に無償では調査できません。

住宅診断におけるホームインスペクターの役割

また、家が傾いているかどうかを測定するだけでは、私達の職務をしっかりと果たしたとは言えません。傾きの原因が新築時の施工不良なのか、どこかに構造上の欠陥があるのか、不同沈下によるものなのか等の判断がつきません。
建物に生じている不具合の原因を探るためには、ひとつの事象だけでなく、他に見られる事象などから総合的に判断しなければならないのです。私達ホームインスペクターは、建物に生じている様々な劣化事象をひとつひとつ検証しながら、それらを関連づけて診断を行っているのです。
もちろん、ただ単に建物が傾いているかどうかの事実だけがわかれば良いというのであれば、傾き測定のみの調査でも可能です。
しかし、ホームインスペクションを依頼される方は、より正確な診断結果を求め、その原因や隠れている不具合なども知りたいと思っているのが本音でしょう。せっかく費用をかけて調査した事が無駄にならない様、事前に調査・診断の目的をよく聞いてからお受けする様にしています。ホームインスペクションを受ける目的は人によって違いがありますが、建物全体を診断する事によってでないと得られない効果が大きいのです。
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