メール相談より

先週弊社に届いたメール相談です。
内容を要約すると、
・昨年、築9年の中古住宅を購入
・引き渡し4か月後の台風時に雨漏りが発生
・発覚後仲介業者に連絡し売り主に伝えたものの、売り主の瑕疵担保責任期間(3か月)が過ぎているため、適用外と言われる
・購入当時、窓上の壁紙がたるんでいたので売り主に質問するが、明確な回答を得られなかった(特に記録はなし)
・今回雨漏りしたのは、購入当時に指摘した窓上部分
・売り主はリフォーム会社の経営者
・現在弁護士に相談中
との事でした。

今回のご相談は、売り主は建築のプロなので、雨漏りを見過ごしていたとは思えない。
建物調査で「雨漏りの発生した時期を特定し、裁判資料を作成できないか?」というものでした。
売り主が雨漏りしている事実を知りながら告知していなければ、瑕疵ではないので売り主は損害賠償責任を免れる事ができなくなるためです。
(瑕疵とは隠れた欠陥の事なので、売り主が欠陥を知っていた場合は瑕疵ではなくなります。)
窓上の壁紙の異常から雨漏りが疑われた時点で第三者に建物調査を依頼していたら、今回の様なトラブルにはならなかった可能性が高いでしょう。
しかしこれから建物調査を行っても、雨漏りがいつから発生していたのかを特定するのは難しそうです。
仮に雨漏りしている部分の小屋裏や壁内部などで木材の著しい腐食などが見られれば、かなり以前から雨漏りしていた事が推測されたとしても、売り主に気付かなかったといわれてしまえば隠れた瑕疵になるのでそれまでです。
現時点で売り主に賠償責任を求めるには、売り主が雨漏りを知っていた事を証明するのが最も手早いでしょう。
売り主の故意または過失による告知義務違反を追求する方法です。

売り主が雨漏りしているのを知っていたかどうか確かめる方法

平成12年以降に新築された住宅であれば品確法が適用されているはずなので、新築工事を請け負った会社には雨漏りに対して10年間の瑕疵担保責任が義務付けされています。
売り主が雨漏りを知っていれば、施工会社に対して修理を依頼していたはずです。
通常、雨漏りしている事を知りながら、施工会社に修理を依頼しないという事はあまり考えられません。
建物調査を行って、万一外壁や屋根に一部手直しした跡がある、サッシ廻りのシーリングを補修した跡がある、室内の天井や壁のビニールクロスや石膏ボードを一部貼り替えた跡がある等が見つかれば、売り主が雨漏りを知っていた事になります。(修理しても直らなかった可能性が高いです)

また建築した施工会社を調べて、雨漏り修理をした事があるかどうかを直接聞いてみる方法もあるでしょう。
(正直に回答してもらえるかどうかわからないので、聞き方を工夫する必要があります)

この様に、中古住宅売買時の瑕疵担保責任にともなうトラブルは、簡単には解決できない事が多いと思います。
特に引き渡しから時間がたつほど、問題が長期化する傾向にあります。
建物の瑕疵を巡る紛争には、確立された瑕疵の判定基準や損害の判定基準もなく、個々の事案に即した解決を模索する必要があります。
裁判に持ち込んでも、大きなメリットはないかもしれません。
こうしたトラブルを事前に避けるためにも、第三者によるホームインスペクションは非常に有効な手段となります。

5雨漏り再現[1]

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