工事代金支払いを巡るトラブル

昨年から施工業者とのトラブルを巡る問い合わせや相談が増えています。
特に多いのが工事代金の支払いに関するご相談です。

「工事に不具合や指摘事項が数多くあって工事代金の支払いを拒んでいたら、施工業者から工事は完成しているからと言って工事代金を請求された。代金を支払う必要があるのか。」という様な内容です。

建築の請負契約では完成した目的物の引き渡しと報酬の支払いは同時履行になるのが原則です。
よって鍵の引き渡しと代金の支払いは同時に行う必要があります。
そして工事が予定された最後の工程までひと通り終了した場合には、たとえ工事が不完全で不具合が残っていたとしても建物は完成したと見なされるので、代金を支払う義務が生じます。

しかし建物に「瑕疵」がある場合は、瑕疵の修補又は損害賠償がなされるまで、引き渡しと代金の支払いを拒むことができます。
ところが新築の場合は良いのですが、リフォームの場合はここでしばしば問題が発生します。
元々自分が住んでいた家をリフォームする場合などでは、鍵の引き渡しなどはじめから存在しないためです。

また、不具合事象と瑕疵を区別して考える事も必要です。
サッシや部屋のドアの建付けが悪くて開閉がしにくいといった場合には、建付けが悪い事自体が瑕疵に該当する訳ではありません。
建付けが悪くなっている原因が瑕疵に該当するのかどうかが問題になります。
基礎の不同沈下などが原因で建物が傾いているため、建具の建付けが悪くなっているのかどうかを見極める必要があるのです。
同様に壁紙の剥がれや造作材の隙間などの仕上げ工事の不具合も、それだけでは瑕疵とはいえません。

施工業者と感情的なトラブルになる前に・・・

こうした不具合や施工ミスがあると全て「瑕疵」として捉え、欠陥住宅と考えがちですが、欠陥住宅とするには建築基準法や日本建築学会の基準、建築工事標準仕様書などの内容を満たしているかどうかの客観的な基準を用いて判断する必要があります。
必要以上に騒ぎ立てすぎると業者と感情的なトラブルとなり、訴訟問題にまで発展する可能性があるので、冷静に対応した方が良いでしょう。
工事代金の一部を残して支払いをする代わりに、手直し事項を取りまとめて、手直しの終了期日を定めた書面を業者と取り交わすなどの柔軟な対応が必要になります。

万一施工業者が信用できなくなって、大きなトラブルに発展しそうになったら、早めに第三者の専門家に相談してみるのもひとつの方法です。

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