中古住宅購入にまつわる不安と疑問。誰でもできる安全性確認方法。

中古住宅購入の際の物件選定基準は人それぞれでしょう。
立地条件、最寄り駅、土地の広さ、環境、日当たり、価格、築年数、建物の外観、間取り等々。

そして物件を絞って購入を検討している場合、建物に対する最初の不安は構造への不安でしょう。81 年5 月以前に建築された「旧耐震」といわれるものは危険で「新耐震」なら安全と思われがちなのですが、実はそうでもないのです。
ひとつの目安にはなっても、旧耐震でも安全なものは存在しますし、新耐震でも危険な建物はあります。では簡単な見分け方はあるのでしょうか?

中古住宅購入時の安全性確認方法

木造の住宅であれば、まずは建物の平面図(間取り図)をご用意ください。
建物の形に注目します。正方形や長方形に近い方が安全で、L 字やT 字などの複雑な形になると危険度が増します。

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次に4 メートル以上の大きな吹き抜けがあるかどうか。
大きな吹き抜けがあると地震時に建物が歪みやすいので、ないほうが安全です。

また、1階の外壁のどの面にも壁があるか。壁が極端に少ない面がある場合は要注意です。特に南面の壁が少ない事が多いので要チェックです。

更に2 階建ての場合は、1階と2階の平面図を重ねてみて2 階の外壁の真下に1 階の外壁

または内壁があるかどうかをチェックします。2階の外壁面と1 階の壁面が一致していればひとまず安心です。また、1階と2 階の内壁の位置も一致していれば更に良いです。
その他では屋根はスレート(コロニアル等)や鉄板などの軽い屋根材で葺かれている方が耐震上はより安全です。

一般の方がご自身で見分ける方法はこんなところでしょうか。

しかし以上の事は一つの目安にはなりますが、全ての項目があてはまる場合でも必ずしも危険な建物と断定できる訳ではありませんので、不安な場合は専門家に耐震診断を依頼する事をお奨めします。

また日本建築防災協会のホームページで、「誰でもできる我が家の耐震診断」というチェックリストが公開されていますので関心のある方は是非ご自身でトライしてみてください。

インスペクションでの確認内容

さて、以上は図面上の見分け方でしたが、インスペクションでは何を見るのでしょうか。平面計画や設計上は安全な建物であっても、施工品質やメンテナンス状況によっては危険な建物になってしまいます。大手ハウスメーカーの住宅であれば設計上の問題点はさほどないと思われますが、施工管理の良し悪しはまた別問題です。

また、築年数が経過した中古住宅においては、構造的な問題がある場合何かしらの兆候が建物に生じています。インスペクションではそういった事を調査します。

老朽化した建物は構造躯体も傷んでいます。特に腐ったり白蟻被害が発生していると建物の強度はかなり落ちていると考えられます。長い期間雨漏れしていた建物や、タイル貼りの浴室で著しいひび割れが生じている場合は要注意。柱や梁、土台等構造上重要な部分が腐食している可能性が高く、修繕も比較的大がかりになります。浴室がユニットバスにリフォーム済みの場合は特に注意が必要です。できれば工事内容まで確認したいところです。

外壁のひび割れやモルタルの浮きや剥がれが見られる場合も注意が必要です。直接雨漏れにつながる事は少ないのですが、ひび割れや浮きの原因として構造的な不具合が疑われます。

また、早めのメンテナンスが必要になるので修繕費用もかかります。このようなひとつひとつの事象から建物の安全性を診断する事もインスペクションの一部です。

また、雨漏れの痕跡が激しい鉄骨住宅は厳重注意です。雨漏れの原因特定は非常に難しい事が多く、建物を一部解体する必要が生じる事も度々あります。それでも木造住宅の場合は比較的原因が特定しやすいのですが、鉄骨造の場合は原因特定に半年以上かかる事もあります。

また原因が特定できても骨組みが錆びていたら大変です。木造は柱や梁の取り換えが可能ですが、鉄骨造では容易ではありません。著しい雨漏れの痕跡のある鉄骨住宅を購入する場合は、雨漏れ修理が完全に終了している事の確認と保証内容の確認を必ず行ってください。

違反建築や既存不適格のデメリット

中古住宅を購入しようとすると気に入った住宅が違反建築(建築確認申請通りに建築されていないものや建築確認を受けていないもの、建築基準法に違反して増改築・リフォームを行ったもの等)や既存不適格(建築当時は適法だったが、その後の法改正で違法になってしまったもの)だったという事もあります。

こういった住宅が全て構造上問題があるかというと必ずしもそうとは限りません。中には違反建築であっても構造的にはしっかりと建てられていてメンテナンスもきちんと行われていたり、リフォームで耐震補強をしっかり行っているケースもあります。

ただし、購入後に増築工事等の大がかりな工事ができなかったり、中には建て替えられないといった事もあるので、不動産仲介業者に確認しておく必要があります。

たとえ建て替えられなくても30 年近く住めて、その値段に納得がいくのであれば購入を検討しても駄目ではないと思いますが、あまりにひどい違反建築には銀行が融資をしないので注意が必要です。

またやはりこういった物件は欠陥住宅であるリスクも高いと思われるので、インスペクションをお奨めします。そもそも30 年住むつもりでいたのに住宅の基本性能に欠陥があったら計画通りにいかなくなってしまいます。

中古住宅は新築住宅とは異なります。どんなに見た目が綺麗な物件でも少なからず何らかの不具合が生じているはずです。
しかし些細な不具合にこだわっていると、なかなか良い物件を手に入れる事はできません。その不具合が構造的な懸念や雨漏れの懸念などの重大なものなのか、適切に補修すれば住宅の価値をほとんど損なわない築年数相応の劣化なのか、そのままでもほぼ支障のないものなのかの判断は、専門家でないとむずかしいものです。

また修繕を行うにしてもその費用がどれ位かかるのかも購入する上では大きな不安です。ご入居後に予想外の修繕費用がかかる様だと資金計画が大幅に狂ってしまいます。

インスペクションはこれらの疑問や不安に全てお応えします。インスペクションを上手に利用して良い中古住宅を手に入れてください。

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