ホームインスペクションでは物件購入の可否のアドバイスは受けられない?

千葉県のホームインスペクション専門会社匠住宅診断サービスです。

時々、中古住宅購入前のホームインスペクションを依頼される方の中から、物件の調査結果を踏まえて購入の可否の判断をして欲しいと言われることがあります。
しかし私たちホームインスペクターは、こうしたアドバイスを行ってはいけないことになっています。

私が所属している日本ホームインスペクターズ協会には、ホームインスペクターが社会倫理に適合した行動を実践するための「倫理行動規定」というものがあり、法令遵守や中立性の堅持、守秘義務、禁止行為などについて定められています。
その中に「ホームインスペクターは不動産売買の意思決定に関して顧客を誘導してはならない」というものがあり、物件購入の可否の判断について言及したりアドバイスを行ったりするのはこれに該当するものとされています。
中立性の堅持の観点から、この様な行為は特定の人(不動産仲介会社や物件の売主、リフォーム会社など)が優位になる恐れがあると考えられるためです。

ホームインスペクターはあくまでも物件の状況を正確に調査して、依頼者に事実をありのままに伝えるのが仕事です。
依頼者はその報告をもとにして、自ら購入の可否を判断しなければなりません。
当然購入の可否を判断する基準は人それぞれなので、ホームインスペクターが判断すべきことではありません。
しかしそうはいっても、中古住宅のホームインスペクションを行って何も指摘事項がないということはほとんどなく、どんな物件にも何らかの問題が発生しています。
そして購入の意思決定を行う際には、その問題が重大なものなのか、軽微なものなのかの判断が重要になります。

物件購入の可否の判断、弊社としての対応は?

またホームインスペクションは非破壊で行う目視による調査がメインなので、見た目はさほど問題がない様に見えても隠れた部分に大きな欠陥が潜んでいることがあり、一方、見た目は著しく劣化していても比較的費用をかけずに容易に修繕できる場合もあります。
床下や天井裏などの見えない部分が雑に施工された物件は、大きな欠陥が潜んでいる可能性が高いといえるでしょう。
こうしたことは一般の方にはわからないことですが、数多くの建物を見てきたホームインスペクターであれば過去の事例を元に不具合を予測できたり、物件の第一印象や臭いなどから第六感が働いて見えない欠陥を察知したりすることが多いものです。
したがって自分が購入するとしたら買うか買わないかという判断は当然できるので、それを依頼者にお伝えすることができないのがジレンマになることが時々あります。

依頼者の立場からすれば、ホームインスペクターに単に建物の劣化事象や不具合の有無の調査を依頼するだけでなく、購入の可否の判断についてアドバイスを求めたいと思うのは当然のことだと思います。
その様なアドバイスを受けられないのであれば、専門家に相談する意味がないとお考えの方も多いのではないでしょうか。

弊社は特定の不動産仲介業者から顧客の紹介を受けたり、自らリフォーム工事を請け負ったりすることはありません。
したがって私は依頼者から強いご要望があった時のみですが、あくまでも私見としてこうしたアドバイスを行う様にしています。
しかしこれは第三者としての中立性を堅持した上のことで、特定の人が優位になるものではないことをお約束いたします。

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