中古住宅のブランド化と宅建業法上のインスペクション

国土交通省は、一定の品質基準を満たす中古住宅に対して新たな統一ブランドを創設し、中古住宅流通を促進させる具体的な検討に入ったといいます。
どうやらブランド化によるお墨付きで、中古住宅への不安を払拭できると考えている様です。

肝心な品質基準ですが、おおむね下記の通りです。
・新耐震基準に合致していること
・建築士による建物状況調査(インスペクション)を実施、結果を開示すること
・構造上の不具合、雨漏りが認められないこと
・既存住宅売買瑕疵保険が付与されること、または同等の自社保証
・水回り、内外装の現況写真を開示すること
・消費者の求めに応じて情報開示を行うこと(耐震性、瑕疵、新築時の情報、改修履歴等)

以上を満たす物件を、国に登録した事業団体を通じて統一ブランド名で売り出すというものです。
要は既存住宅売買瑕疵保険加入の基準を満たす事がメインとなります。

今年4月に予定されている宅建業法の改正もそうですが、国は既存住宅売買瑕疵保険加入を促進したい様です。
宅建業法改正にともなって国土交通省が定めた建物状況調査(インスペクション)も、瑕疵保険加入の基準を満たしているかどうかの可否判断に必要な調査がメインです。

しかしこれで本当に中古住宅流通が促進できるのかというと甚だ疑問です。
そもそも築10年程度の築浅の中古住宅であれば、余程の事がない限り既存住宅売買瑕疵保険加入の要件を満たしているのが普通で、わざわざブランド化して保険加入しなくても売れるでしょう。
また、瑕疵保険が適用されるのは構造上の不具合や雨漏りなどの一部の限定的な瑕疵だけなので、保険に加入しているから安心という事では決してありません。

弊社でご提供するホームインスペクション

消費者が中古住宅に対して不安に思っているのは、構造上の不具合や雨漏りだけではないはずです。
実際にホームインスペクションを行っていると、それ以外の不具合や施工不良を発見する事が圧倒的に多いのです。
そして消費者が求めている情報は、施工精度、将来のメンテナンス費用やメンテナンスサイクル、希望のリフォームの可否やリフォーム工事の助言、快適性など様々です。
また築年数の古い住宅などでは、耐震性能など瑕疵保険が付与される基準を満たす工事をすれば高額な費用がかかります。
コストをできるだけ抑えて、最低限の安全性を確保するためのアドバイスが必要になるでしょう。

こうした古い住宅を安心して取引できる様になって、はじめて中古住宅流通市場が活性化するのではないでしょうか。
私は住宅診断に本当に必要なのは、比較的築年数が経過した住宅を安心して購入するために、診断後にメンテナンスやリフォームの適切な助言やアドバイスをする事だと思っています。
また建物診断で見つかった施工不良や不具合に対する最適な補修方法のアドバイスも必要です。

今後も弊社では、国が掲げる宅建業法であっせんするインスペクションとはひと味違う建物診断を心がけていきたいと思っています。

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宅建業法改正にともなうインスペクションの効果

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