新築住宅の10年保証と期限切れ前の住宅診断について

6月に発生した大阪府北部地震でのブロック塀倒壊死亡事故の再発防止策の一環として、地方自治体が指定した災害時の避難路に面しているブロック塀について、所有者に耐震診断が義務付けされることになりました。
診断を受けずに放置した場合には、自治体が指導し、従わなければ物件名を公表するとのことです。
ただし、対象となるのはマンションや商業施設などに設置された塀で、一戸建住宅の多くは除外されそうです。
実際には危険なブロック塀は一戸建住宅にも多く見られるので、一戸建住宅でも自主的に点検する方が増えると良いと思います。

さて、2000年より新築住宅の主要な構造部分や雨水の侵入を防止する部分に対して、10年間の保証が義務付けされています。

しかし、売主やハウスメーカー、工務店などが倒産してしまうと補修工事を求めても対応してもらうことはできませんでした。
また補修工事にはお金がかかるので、売主や住宅会社が補修費用を負担できずにトラブルになるケースもたびたびありました。

そこで2009年10月1日以降に引き渡される新築住宅については、瑕疵の補修等が確実に行われるように瑕疵担保履行法が施行され、売主や住宅会社に対して保険加入か保証金の供託のいずれかが義務付けされるようになりました。
ただし保証金の供託には高額な資金が必要になるため、一部の大手住宅会社を除いて保険加入が一般的になっています。

「保険に加入しているので安心」とはいえない理由

保険に加入した場合には、保険金は保険会社から補修工事を行うべき売主や住宅会社などに支払われますが、会社が倒産してしまった場合には買主や施主に直接支払われます。

ただし10年の保証期間が過ぎた後に瑕疵が見つかった場合には、原則として保証の対象外になってしまいます。
無償で補修工事を行ってもらうことができなくなってしまうので、10年保証が切れる前に第三者の専門家による住宅診断を行っておくと安心です。
保証が切れる前には、売主や建築工事を行った住宅会社でも無償の点検を行ってくれる場合がありますが、利害関係が一致しないため事実がきちんと報告されるとは限らないためです。
保証期間内に余裕を持って住宅の点検を行い、瑕疵等が見つかったら早急に売主等に補修請求しておくと良いでしょう。

しかし実際には、瑕疵が見つかった時にその内容が保険の対象になるかどうかが問題になります。
特に構造部分の瑕疵については、保険会社が瑕疵として認めないケースもあるので要注意です。
専門家に住宅診断を依頼しておけば、そんな時にも心強い味方になってもらう事ができます。
住宅会社の営業マンがセールストークで言う様に、「保険に加入しているから安心」というわけでは決してありません。

また建築に関するトラブルは、10年保証の対象外となる事項でも数多く発生しています。
瑕疵保険では対応してもらえず、結局は売主や住宅会社それぞれの保証内容による対応になってしまうので、事前に保証内容について十分に熟知しておく事が重要です。
住宅の請負契約前には、住宅会社の保証内容の確認をお忘れなく!

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住宅定期点検チェックリストの例

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