建設業の許可違反

昨年、日産自動車とスバルの工場で、無資格の従業員が、完成した車両の安全性をチェックする「完成検査」を行っていたとして、マスコミでも大きく取り上げられ、社会問題となりました。
法令遵守の観点からすれば重大な不祥事といえますが、これが原因で事故などが発生したというケースはほとんど聞きません。

一方建設・住宅業界では、様々な施工不良や欠陥住宅被害が毎日の様に発生しているにもかかわらず、法令が守られていないケースをたびたび目にします。
その中のひとつが建設業の許可違反です。

飲食店が営業許可を持たずに開業したり、医師免許がないのに医療行為を行うケースはあまりないと思いますが、万一この様な行為を行えば明らかな犯罪行為となるので、発覚すれば罰則を受けるだけでなく、ニュース等でも大きく取り上げられて社会的にもバッシングを受けます。
しかし建設業の場合には、建設業許可がないのに違法な営業行為を行っているケースは決して少なくありません。
特に住宅のリフォーム業では、こうした事例を数多く目にします。

建設業許可違反の罰則

建設業法では、500万円を超える工事(建築一式工事を除く)を請け負う場合には、建設業の許可が必要なことになっています。
違反すれば3年以下の懲役または300万円以下の罰金(併せて科せられる場合がある)で、明らかな犯罪行為なのです。
建設業法上では一番重い罰則になります。
そして現在許可を取得していない業者なら、その後許可が取得できなくなる可能性も高くなるでしょう。

ところが実際には、この様な法律上の罰則が科されたという話はあまり聞きません。
建設・リフォーム業者に対する取り締まりがほとんどないためです。

なので現在では、こうした違法なリフォーム業者が野放し状態になっています。
工事の依頼者側も、「リフォーム会社として看板を掲げているのだから、当然必要な許認可を受けているものだろう。」として特に建設業許可の確認などしないのが一般的になってしまっています。
現状では、業者自らの良心や自主規制に頼らざるを得ないのが実情です。

近年では多くの業界でコンプライアンス遵守の観点から、法律の中に更に自主規制を設け、逸脱しない様にルール化するのがあたり前になりつつあります。
ところが住宅・リフォーム業界では法律すら守れない業者もたくさん存在しています。
住宅業界の品質に関連するトラブルの数は、自動車業界どころではありません。
業界のイメージアップのためにも、また何よりも消費者保護の観点からも、こうした違法な業者を排除する様、業界全体で取り組まなければいけないと思います。

kensetsu_point[1]

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