アパートの界壁の施工不良

レオパレス21のアパートの界壁問題(建築基準法違反)が表面化してから、アパートのオーナー様から界壁の点検依頼が時々あります。
界壁とはマンション、アパートなどの各住戸の間を区切る壁のことで、建築基準法上、耐火構造または準耐火構造または防火構造とし、小屋裏または天井裏に達するように設けなければならないとされています。
レオパレスが建築したアパートでは、この界壁が小屋裏まで達していなかったことで大きな社会問題となりました。

界壁には火事が発生した際に隣の住戸への延焼を防止する役割と共に、隣戸への音漏れを防止する役割があります。
遮音上問題となる隙間のない構造にしなければいけません。

写真は築1年ほどの木造アパートの小屋裏の様子です。
入居者から「隣室の声が丸聞こえだ」とクレームがあって退去してしまったことがきっかけで、不安になったオーナー様から相談を受けたものです。
天井点検口がなかったため、天井のダウンライトを外してダウンライトの穴から小屋裏をデジカメで撮影しました。

意外と多い界壁の施工不良

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界壁が小屋裏まで達する様に施工されていましたが、母屋(屋根を支える構造材)と界壁の石膏ボードとの間に隙間があるのが確認できます。
(他にボードを留め付けるビスの本数不足が見られました。)
空気の振動で伝わる「空気伝播音」は僅かな隙間でも伝わりやすいので、この程度の隙間でも音漏れの原因になる可能性があります。

石膏ボードメーカーの吉野石膏では、ロックウール系のフェルト材(タイガーロックフェルト、ロックフェルトM)や変性シリコーン系の充填剤(タイガー耐火シーラント)などで隙間を埋めることになっています。
下の写真の様に、隙間を埋める処理が必要です。

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小屋裏に界壁がなかったレオパレス21のケースは論外ですが、小屋裏や天井裏での界壁の施工不良は意外と多いものです。
役所の検査では建築確認申請時に界壁があるかどうかのチェックを図面上で行いますが、完了検査の際に現場で界壁の施工状況について確認することはほとんどない様です。
音の問題には個人差がありますが、遮音性の良し悪しはアパートなどの収益物件では入居率にも影響を及ぼす重大な要素です。
完成後に手直しするとなると高額な費用と手間がかかってしまうので、物件の引き渡し前までには界壁施工後の写真を提出してもらうなどの対策を行う様にしたいものです。

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