高品質の家はきれいな現場から生まれるVOL.2

今日から七月。もうすぐ本格的な夏です。
六月は打ち合わせやセミナーなどで都内に行く事が多かったのですが、今月はどんな一か月になるのか楽しみです。

さて前回工事現場が汚い住宅会社は、品質面にも不安があるというお話をしました。
「品質と現場の整理整頓は関係がない」という会社や職人もいると思いますが、決してそんな事はありません。
現場を大事にしない会社は、お客様も大切にしないと思ってほぼ間違いありません。
なぜなら環境を整備してきれいな現場をつくるのは、全てお客様の利益につながるからです。

材料や資材が雨ざらしになったり、現場内に道具や資材が散乱しているために、完成後にカビ臭かったり、床や造作材が傷だらけになって一番困るのはお客様です。
現場が埃だらけではいくら工事中にお客様が立ち会い検査をしても、傷や汚れが埃で隠れてしまって検査する事ができません。
道路が泥だらけになったり、工事車両の迷惑駐車で近隣とトラブルになって後々生活しにくくなるのはお客様です。
また安全管理の不備によって現場内で職人に死傷者が出ようものなら、そんな家には住みたくなくなってしまうかもしれません。
「現場が汚い=お客様を大切にしていない=品質にも問題がある」なのです。決して無関係ではありません。

現場環境を良くするにはお金も時間もかかる!

しかし一口に「現場の環境を整備する」といっても簡単な事ではありません。
建築現場には住宅会社の社員だけでなく、協力業者の職人や資材の運送業者など多くの人が入れ替わりで立ち入っています。
そして実際に家を建てる職人は住宅会社の社員でない事が多いのです。
そのような人達に指示を出して現場を管理するのが現場監督ですが、現場監督が現場で指示するだけでは足りず、定期的に協力業者を集めて研修や安全大会、現場パトロールなどを実施して現場の改善に取り組む必要があります。
きれいで安全な現場づくりを行うためには、お金も時間も労力もかかるのです。

ずいぶん昔の話になりますが私が現場監督をしていた30年程前には、低層の戸建ての住宅現場ではほとんどヘルメットを被っている職人はいませんでした。ところがある日発生した現場での転落事故がきっかけで、社内会議で現場内ではヘルメット着用を義務付ける事になりました。
その後毎日のように現場でいくら職人に指示しても、何かと理由を付けてなかなか言う事を聞いてもらえません。他の現場監督の現場も同様でした。
結局全社で現場内ヘルメット着用が徹底される様になるまでには、1年以上かかったと思います。

住宅会社の規模にもよると思いますが、取引のある協力会社の職人は、孫請け業者なども含めると少なくとも数百人になります。
いくら会社で決まり事を作っても、この様な人達全員に周知徹底するためには大変な労力がかかるのです。
しかしわざわざお金と時間をかけてこんな努力をしなくても住宅を建てるのは可能なので、現場の改善に本気で取り組んでいる会社はそんなに多くはないと思います。
しかし私の過去の経験から言うと、「本気で現場を改善しようとしていない会社で品質の良い住宅を建てる会社はない」と断言します。
だから住宅会社を選ぶ上で、工事中の現場を見る事が重要なのです。
近年では躯体工事中も建物全体をシートですっぽりと覆い、建物を雨でできる限り濡らさない様にしている現場も目立ってきました。
また工事中に現場見学会を開催して、お客様を積極的に建築現場に案内する会社も増えている様です。
しかしこの様なイベントとして行う見学会は、事前に準備している事が多いので、現場の「本当の姿」は見る事ができません。
「本当の姿」はあくまでも飛び込みの見学で確認する必要があります。

次回は現場でのチェックポイントをお話しします。

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