宅建業法改正にともなう住宅診断について

2018年度から宅建業法が一部改正され、中古住宅取引の際にホームインスペクション(住宅診断)についての説明が義務付けられます。
これによって売主・買主共に必ずホームインスペクションについて知る事ができる様になると思います。

しかし、買主がホームインスペクションの存在を知るのは媒介契約締結時なので、実務上ほとんどのケースでは契約当日になってしまう恐れがあります。
これでは「契約前の購入を検討している時期にホームインスペクションを行い、その結果をもとに購入判断をする」というホームインスペクションの本来の目的からは外れてしまう様に思います。

ホームインスペクションの目的とは?

そしてインスペクションの結果報告は、いくつかの調査項目についてチェックした簡単な書類を宅地建物取引士が重要事項説明時に読み上げるだけになる様なので、客観的で詳細な説明はあまり期待できません。
「早急にメンテナンスが必要な事項がないか」、「メンテナンス費用はどれ位かかるのか」、「将来のメンテナンス計画のアドバイス」などの具体的な説明は望めないでしょう。

よって今回の改正でインスペクションの実施率がそれほど増える様には思えません。
理由は、買主にとって大きなメリットが感じられないためです。

また国は今回の宅建業法の改正と共に、既存住宅売買瑕疵保険の加入を推進したいと考えている様ですが、保険の適用範囲は限定的で、保証期間も長くありません(5年または1年)。保険に加入したから安心という事は決してありません。
保険が適用されない住宅の不具合はたくさんあるのです。

ホームインスペクションの本来の目的は、中古住宅の購入前に第三者の専門家による住宅診断を実施して建物の状態を把握し、将来のメンテナンス費用や修繕費用などを理解した上で購入判断をする事だと思います。

今回の宅建業法改正に伴う住宅診断と本来のホームインスペクションの目的は異なる様に思えてなりません。

既存建物取引時の情報提供充実[1]

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