アパートの界壁調査のススメ

昨年から世間を賑わせているアパートの界壁の施工不良問題。
時間の経過と共に解消するどころか、調査が進むにつれて益々被害件数が増え続けています。
アパート建築業界では、レオパレスの他にも動揺を隠しきれない建築業者や、不安な毎日を過ごしているアパートのオーナー様が多いと思います。
アパート建築は一般の戸建住宅と異なり、オーナー様自らが住む訳ではないので、どうしても検査や日常の品質管理が甘くなりがちです。

界壁が全くないというのは極めて稀なケースだと思いますが、実はこうしたアパートの界壁に関する施工不良はレオパレスに限ったことではなく、アパートのインスペクションの際には、過去に私も何度も指摘しています。
(ただし指摘をしても、手直しする・しないの判断はオーナー様の判断です)

この様な不具合が起こるのは、何も建築費を削減するためばかりとは限りません。
界壁の施工を省略しても、削減できるコストはそんなに多くありません。
むしろ手間がかかって面倒くさい、塞いでしまえばわからないといった職人の考えが多いと思われるので、品質管理が行き届いていなければどこの会社に依頼してもおこり得ます。
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(事例1)ハウスメーカーの軽量鉄骨造アパートの界壁
石膏ボードが一部貼られていない施工不良(石膏ボードが剥がれている)がある

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(事例2)築1年の木造アパート
界壁に隙間が生じている
本来この様な隙間は、専用のロックフェルトや耐火シーラントなどで塞ぐ必要がある
(天井点検口がなかったため、ダウンライトを外して確認)

建築基準法は、人の命を守るために建物が最低限備えておくべき性能を定めているものです。
万一火災が発生した時に、建物の施工不良が原因で入居者が甚大な被害を受ければ、オーナーの責任はゼロとはいえません。
またこれだけ大きな問題になれば、入居者からの問い合わせや、新規契約の際に「大丈夫かどうか」の質問をされることが増えると思います。
役所の完了検査を受けているからといって、決して安心できません。
きちんと確認しないで、安易に「大丈夫」と答えるわけにはいかなくなるでしょう。
そして万一、入居後に工事のやり直しが必要になれば、工事費用とは別に引っ越し費用や保証金等様々な金銭的負担を負う事にもなりかねません。

アパートの退去者が多い3月が界壁を点検する絶好の機会!

もし不安がある様であれば、念のために第三者の専門家による調査を早めに行っておくことをオススメします。
天井点検口があれば少額の費用で調査が可能ですし、点検口がない場合でも、ダウンライト等を取り外して確認することができる場合もあります。

オーナー様自身で確認することも可能ですが、専門家に見てもらっておけばより安心です。
いずれの場合にも、入居者が退去した時が調査を行う絶好のタイミングです。
いつまでも不安を抱えたままでいるよりも、早めに手を打って、不安を解消しましょう。

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