現場監督という仕事の本音

現在、建築現場においては職人不足が問題となっていますが、同時に現場監督の人材不足も深刻な問題です。

建築関係の仕事の中でも、3Kの代表的な職種である現場監督は、すでに30年以上前から不人気でした。
「きつい、汚い、危険」または「きつい、帰れない、厳しい」職種なので、なかなか「なり手」がいません。

私は自らの希望で現場監督として社会人生活をスタートしましたが、同じ大学の建築学科に通う仲間のほとんどは建築家志望で、建築設計事務所やゼネコン、ハウスメーカーの設計部に就職しました。

なぜ現場監督が不人気の職種なのか、非常に興味深いデータをインターネットで見つけました。
現在(または以前)、現場監督として働いている(働いていた)建築施工管理技士が明かした仕事の本音です。
・とにかく残業や休日出勤が多く、趣味も持てない
・1つのミスが命取り。気づかずに現場が進んだらと考えると、プレッシャーがすごい。
・拘束時間が長く、家族と接する時間がない。
・現場の進捗状況や労働災害の危険性など、休みの日も現場の事ばかり考えてしまう。
・プライベートの時間がない。
・会社と現場の板挟みになり、理不尽な責任を負わされる。
・仕事内容と給料が見合わない。
・責任が重いので、半端な気持ちでは続かない。
・メンタルが弱いと勤まらない。    
・どんなに体調が悪くても休めない。 
・現場での施工管理以外にも近隣や関係省庁との折衝などにも時間をとられる。  等々

切実な思いが伝わってきますが、自分自身の経験上、これらの事はすべて事実です。
私が勤務していた会社でも、現場監督の離職率が最も高かった様に思います。

一方、良い点としてはこんな事が挙げられています。
・顧客や職人から一目置かれる。
・現場が無事完成した時の達成感がある。
・建築技術者としてのプライドが保てる。
・常に専門知識と迅速な対応力が求められ、非常にやりがいがある。
・将来性がある。
・人とのコミュニケーションをとり、一緒に協力し合い、1つのものを作り上げる喜びを感じる。
・現場運営を全て任され、やりがいを感じる。
・知識と人脈を広げられれば、将来独立しやすくなる。
・覚える事が多く、日々成長を感じる事ができる。
・現場でしか得られない建築知識がたくさんあるので、能力向上に役立つ。 等々

以上の事も真実で、私も全く同感です。
これらの回答はすべて複数の人にそれぞれ良い点と悪い点を記入してもらったものなので、良い点、悪い点の両面を感じている事を示しています。
責任の重さとやりがい、プレッシャーとやり遂げた時の充実感、就業時間の長さと専門知識の習得等の表裏一体で相反するものの中から、どちらに価値を置くかは人それぞれだと思います。
やりがいや充実感が勝っていれば長く続けられても、そうでなければ離職してしまいます。
ただ、現場監督の人材不足は早急に解消しなければいけません。
職場環境の改善は建設業界全体の使命だと思います。

現場監督入門研修の実施

一方、私は昨年10月からある人材派遣会社とのコラボで、ゼネコンの現場監督志望の若い人達を対象とした研修プログラムを作成しました。
志望者が一定数集まり次第研修を行う予定ですが、なかなか人数がまとまらず、現在派遣会社も人材集めに苦労している様です。

研修では実務のみでなく、現場監督の実態をありのままに伝えると共に、そのやりがいや存在価値をできる限り伝えて、将来の優秀な現場監督の発掘に貢献したいと思っています。

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