先月熊本県を中心に発生した地震による建物被害の状況が、徐々に明らかになってきた様です。
地震工学の大学教授を中心とした調査チームがまとめたデーターによると、建物被害が集中した地域は、地震の揺れで木造家屋が倒壊しやすい軟弱な地盤とみられるそうです。
地震は様々な周期の波(地震波)を含んでいて、地盤や建物には特定の地震波を増幅させる性質がある事は広く知られていますが、分析の結果、家屋の倒壊が多かった地点のほとんどが木造家屋や中低層の建物を壊しやすいとされる周期1秒の地震波を増幅しやすい地盤だったといいます。
地震対策には日頃の建物のメンテナンスも重要
一方、全壊した建物が広がる地域にも、比較的軽傷で済んだ建物が点在している事から、建物の耐震性能の違いにより被害の程度が異なるのも明らかです。また、新耐震基準で建てられているからといっても決して安心ではなく、日常のメンテナンスを怠っていると思わぬ被害を受けそうです。特に雨漏りや白蟻被害、結露等による木部の腐食は要注意です。比較的築年数の浅い2×4の住宅が、構造用合板が腐食していて倒壊した事例もあった様です。地震対策には、耐震補強と同様に、日頃の建物の点検・メンテナンスが重要なのです。
また、ニュースなどでも報道されていましたが、耐震補強済みの体育館が損傷し、避難所としての利用に支障が出た事などを考えると、今回の地震が耐震施工の想定を超える地震だった事を改めて感じさせられます。
今後も、いつどこで想定外の地震が発生するかわかりません。どんな建物でも過信は禁物です。一度大きな地震にあったら、なるべく早くより丈夫な建物に避難するべきです。
現行の耐震基準は、あくまでも大地震の際に、避難する間もなく建物が倒壊し、圧死してしまう事を防ぐためのものであって、建物が絶対に倒壊しないというものではないはずです。今回の地震の様に、繰り返し何度も大地震が発生する事は想定外だったでしょう。
他方で、軽傷で済んだ住宅もあったのも事実なので、今後の詳細な調査、分析が待ち望まれます。