賃貸住宅経営を取り巻く厳しい環境は、依然として続いています。
しかし、人口減少、低金利、物件供給過多が今後も続くと思われる中で、不動産投資を始める人が増えているといいます。
テレビ番組などの影響もあるのか、比較的若い世代の投資家の方を中心に、老朽化してボロボロになった格安物件を購入し、DIYリフォームして貸し出す方法も関心が高い様です。現在は、空き家も増えているので、安い築古物件を探すのはそんなに難しくはないでしょう。
近年、書店ではそのようなハウツー本も売られています。
安い値段で購入した物件を、費用をかけずにセンス良くリフォームして貸し出す事ができれば、利回りを最大にする事ができます。この様な物件を複数所有し、悠々自適な暮らしをしている人に憧れる気持ちは良くわかります。
しかしこうした話を聞くと、「賃貸住宅経営における最も大切な部分が置き去りにされていないか?」不安に思う事があります。
賃貸住宅では、入居者の安全を軽視する事はできない!
それは、「そこに住む事になる人の安全」です。
古くてボロボロの物件は、ほぼ100%構造上の問題を抱えているはずです。素人のDIYリフォームで、構造上の欠陥をきちんと直す事ができるとはとても思えません。プロでも難しい仕事です。
見た目だけ綺麗にした物件は、大きな地震にあえば倒壊してしまう恐れもあります。入居者の命が危険です。
そのような被害にあった場合、オーナーの責任は免れないでしょう。
中には、自分自身の手でセンス良く自由にリフォームして、差別化をはかりたいという人もいるでしょう。
また、古くてボロボロの格安物件は、銀行の融資もつきにくいので、リフォームに高額な費用をかけられないという事情もあるかもしれません。
その様な場合には、まず専門家にインスペクションを依頼して、どこをどう直せば良いのかをしっかり見極めてもらう事をお奨めします。その上で、素人には難しい構造補強だけを業者に依頼する方法もあります。自分で作業するよりもコストはかかりますが、入居者の安全へのリスクを回避する事ができます。
また、DIYアドバイザーと呼ばれる人の指導を受けても、構造補強はできないので注意してください。
そもそも、賃貸住宅経営をする上で、入居者の安全を確保する事は、最低限の義務ではないでしょうか。
瑕疵を隠して貸しているのが、健全な賃貸住宅経営とはいえません。