皆さんは、15年近く前に放映されていた人気テレビ番組「マネーの虎」をご存知でしょうか?
お金がなくても、自分の夢を追いかけて起業家を目指す志願者たちが、当時の成功者であった名物社長達の前で、希望の金額を投資してもらうためのプレゼンテーションを行うというものでしたが、私の大好きな番組のひとつでした。
最近はこの様な骨太のテレビ番組がなくなってしまったので、寂しい気がします。
番組の中での「働いた代償を求めるのは、プロの基本。代償を求めないのはプロではない。」という一言は、今でも心に深く残っています。
起業志願者達の稚拙なビジネスモデルに対しては、「甘い」「聞くだけ時間の無駄」「そんなの儲かるはずがない」などとボロクソにこき下ろしていた社長達が、その後次々と倒産したり大きな負債を抱えて借金まみれになる中で、当時は人間性まで否定されながらも、頑張り続けて今や成功者となって大活躍している起業家の話も、インターネットなどで時々知る事ができます。
わずか15年足らずの間の大逆転現象です。起業して会社を存続させる事が如何に大変な事なのかを思い知らされます。
さて、住宅産業は古くからクレーム産業と呼ばれてきました。実際に、1年を通じて顧客トラブルとは全く無縁な住宅会社など存在しないのではないでしょうか。
また近年では、トラブルとなったお客様が、インターネットの掲示板に書き込みをするケースなどもあります。
顧客トラブルを無くす事はどこの会社でも重要な課題ですが、不幸にしてトラブルを抱えてしまった場合に大切な事は、誠意を持って問題解決にあたる事は言うまでもありません。
そして、時には正しい法律知識を持って、毅然として問題解決にあたらなければならない場面にも遭遇します。
当事者間ではトラブル解決について合意ができず、訴訟へと発展する可能性の高い場面などです。
無用な対立を避けるために必要な事
しかし、住宅の紛争裁判は長期化する傾向があり、莫大な労力や費用が必要となる恐れもあります。お互いに望んではいないはずです。
住宅会社にとっては、住宅トラブルが紛争に発展する事を可能な限り予防する事が重要で、そのためには様々な住宅トラブルについて、事前に事例を集めてトラブルを起こさない様に対策を立てておく事が大切です。
過去の裁判事例や関連する法律を知っておくことで、未然にトラブルになるのを防いだり、万一トラブルが生じても無用な対立を避けて、円満に解決できる様になるでしょう。
私は、住宅会社に勤務している時、ある一冊の本を常に身近に置いて、目を通す様にしていました。
「建築設計・施工クレーム対応マニュアル」 新日本法規発行 という本です。
この本は、社内の研修などでも活用し、今でも時々読み返しています。
住宅建築や住宅リフォームの業務を行う上で、実際にトラブルとなった多くの事例について詳しく解説されているので、大変参考になります。これを読んでおく事によって、誤った対応を行い、問題を大きくしてしまう事を避ける事ができます。
同様の本も数多く出版されていると思いますので、是非住宅業界の方々にはこれらの本を読んでいただき、トラブル予防、早期解決に役立てて欲しいと思います。