昨日、東日本大震災でスーパーの駐車場のスロープが崩落し、8人が死傷した事故で、一審で有罪判決を受けた構造設計を担当した建築士が、逆転無罪となりました。使用者責任や管理者責任も問われている様ですが、このクラスの地震が都市部で発生したら、建物だけでなく、崩落する建造物は決して少なくないと思います。
建築士の負うべき責任の範囲は難しい問題です。
さて、住まいの音を巡る相談を受ける事があります。
水道の蛇口を止めた時に「ドーン」と音が響くウォーターハンマー現象や、マンションでの上階からの床衝撃音、一戸建て住宅の床鳴りや、木材が乾燥収縮時に割れる音、機械の運転音やエアコンの排水ドレーンからの音など、住宅内にも様々な音の発生源があります。稀に、天井裏に侵入した動物の足音や、金属屋根の直下階では、屋根上を歩くカラスの足音などが聞こえる事もあります。
原因がわかれば、対策を考えるのは難しい事ではありません。
しかし住宅内では、これらの原因がはっきりしている音以外に、原因不明の音に悩まされる場合もあります。
その様なケースでは、建築の専門家でさえもなかなか原因を特定できないため、不安を感じたり、不快感が一層増します。
音を発生させる要因には、設備機器の運転や使用によるものや人間の動作による人為的なもの、部材が変形・収縮する際に発生するもの、空気の流れ(風)による部材の揺れや隙間音、地盤振動による建物の揺れなどの他、金属の熱膨張収縮によるもの、低周波音による共振などが考えられます。
また、一般的に、鉄筋コンクリート造の集合住宅の方が、木造住宅よりも原因不明の音が発生する頻度が高いと言われている様です。床、壁、天井、給排水管などの「固体」を伝わる固体伝搬音によるものが多いそうです。
そのため、木造住宅から鉄骨造や鉄筋コンクリート造の集合住宅に住み替えた場合、音に悩まされるケースが多いそうなので、注意が必要です。
不思議音の原因を探す方法
これらの原因不明の音(不思議音と呼ぶそうです)が続くと、「心霊現象の様で気味が悪い」「幽霊がいる様で怖い」と感じる方も少なくないでしょう。
こうした「不思議音」の原因を調べてくれる専門の調査会社もある様です。
1日~1週間程度のモニタリング調査により、音の発生源を特定し、対策を提案してもらえる様なので、どうしても気になる方は一度相談してみると良いでしょう。