欠陥住宅が生まれる背景のひとつとして、「建築士による工事監理」が十分に機能していない事は前回話しました。
さらに行政もこれを放任し、行政自身の建築確認・中間検査・完了検査というチェック体制の甘さも一因となって
拍車をかけています。
もちろん作り手である建築会社にも様々な問題点があります。
最近話題となった建設業の重層下請け構造もそのひとつです。
建築の現場では元請-下請-孫請というピンハネ構造も珍しくないため、下流では採算を合わせるために手抜き工事を行わざるを得なくなるという恐れもあります。
また熟練工の不足や現場監督のスキル、経験不足も指摘されています。
本来、現場で指導・監督すべき立場の現場監督にそのスキルがなければ、欠陥があっても見過ごされてしまうのは当然です。
設計者にも問題があります。近年、デザイナーズハウスと呼ばれる意匠性に優れた住宅が人気ですが、中には建築の納まりや構造を理解していない設計者もいて、見た目のデザイン優先の住宅が雨漏りや結露等の不具合を引き起こすケースも目立っています。
また意匠に凝った分のしわ寄せを、建物の耐震性や耐久性を下げて補おうとする事さえあるのです。
リフォームも問題です。一定規模以下のリフォーム工事であれば建設業の許可は不要なので、建築の素人でも明日から
リフォーム業者を名乗る事ができます。
実際にホームインスペクションで見つかる不具合には、不適切なリフォームが原因と思われるものも少なくありません。
リフォーム業者の無知が欠陥を生んでいるのです。
他にも欠陥住宅が生まれる要素はたくさんあります。
過度の価格交渉も避けたいものです。安い工事費でも、一定レベル以上の建築業者であれば見た目はそこそこの家を建てると思いますが、決して長持ちする家にはなりません。見えない部分でコストダウンしているのです。
欠陥住宅を掴まないためには?
このような中で欠陥住宅を掴まないようにするためには、消費者側の努力も必要です。
自ら最低限の建築知識や情報を得て、自己責任で施工業者を選び、自分の権利は自分で守らなければなりません。
インターネットや住宅雑誌、セミナー、ショールームやモデルルーム見学などで建築費の相場やメーカーごとの品質の違い
などの情報を把握しておく事は重要です。
そして少しでも不安要素があれば、早めに第3者のホームインスペクターに相談して欲しいと思います。
住宅は一生の中で一番高価な買物です。万一欠陥住宅を摑んでしまったら、莫大な財産的被害だけでなく、精神的なダメージも抱えてしまいます。
私達は「中古住宅購入や住宅のリフォームで絶対に失敗しないためのパートナー」を目指しています。