昨日の早朝に博多駅前で発生した道路陥没事故の映像は衝撃的でした。あれだけの陥没事故にもかかわらず、一人の犠牲者も出なかった事に対して、現場の迅速な対応が評価されて良いと思います。
付近で行われているトンネル掘削作業の影響の可能性が高いと言われていますが、同様の事故は過去に何度も起きています。事前の地盤調査を完璧に行うのは難しいと思いますが、不十分な地盤改良が原因となっている事も多い様です。
数十年前には、千葉県船橋市でも地下鉄東葉高速鉄道のトンネル工事中に、手抜き工事が原因の陥没事故があった事を思い出しました。
今回の事故は、手抜き工事が原因ではない事を願いたいと思います。
さて、つい先日新築住宅の完成検査を行いましたが、同じ区画内に建つ住宅(完成は半年ほど前)に不同沈下が発生したため、建築した業者がジャッキアップして沈下修正工事を行うという話を聞きました。
住宅を新築するにあたっては、地盤調査を行い、調査結果によっては必要と思われる地盤改良を行って地盤沈下対策としますが、選択する地盤改良の工法によっては必ずしも安心とはいえない場合もあります。
地盤改良の問題点
家の下で軟弱層の厚さが急変していたり、支持地盤に起伏があったり、施工に使用したセメント系固化材と腐植土の相性が悪く固結不良が生じたり、地下水脈の影響を受ける場合などです。
上記の理由で、地盤改良をしたつもりが、品質不良によって逆に地盤沈下を引き起こす事もあるのです。
その他にも、施工後に性能検査試験(地耐力調査など)を実施していない場合なども、後々になって問題が起こる原因となるので、要注意です。
また、セメント系固化材を使用した地盤改良を行う場合には、六価クロムによる土壌汚染を引き起こす可能性もあるので注意しなければなりません。
今回沈下修正工事を行う予定の建物が、どんな地盤改良を行っているのか、どの様な事象が発生しているのか詳細まではわからないので、原因を推測する事はできませんが、完成後1年未満の住宅でも不同沈下しているのは現実の出来事なのです。
そして、沈下修正工事を行っても、完全な状態にできる訳ではありません。
地盤調査や地盤改良工事は信用できる会社に依頼する事が大切だと思います。