銀行や信用金庫の不動産業向けの新規融資額が、バブル期を含めて上半期として過去最高の7兆円に達したそうです。
マイナス金利政策の影響で、不動産関連企業の借り入れが活発化している様ですが、積極的な融資がバブル発生につながらないか心配です。
さて、住友不動産の「新築そっくりさん」は、1軒の家を新築の半分の費用で、住みながらまるごとリフォームし、新築同様に再生させる事を謳い文句として、1996年に誕生し10万棟の施工実績があるといいます。
また、全面リフォームとしてではなく、建て替えの新システムとして売り出した事が斬新でした。
この商品を販売した事によって住友不動産は、我が国における住宅リフォームのリーディングカンパニーの座を不動のものにしています。
また、平成7年の阪神淡路大震災以降には、耐震改修工事も標準仕様に組み込む事で、他社の類似商品との差別化を図っています。現在は更にバリエーションを拡大して、制震システムや震災時のライフラインを確保した商品もあります。
家をまるごとリフォームするには、外部や室内の天井や壁を解体してしまうので、実は耐震補強をするにはまたとないチャンスなのです。リフォームついでに耐震補強工事を行っても、差額の工事費用はそれほどかかりません。
逆に、耐震補強を行う事がリフォームの一番の目的となる場合でも、仕上げ工事もほとんどやりかえが必要になり、ついでに水廻り設備も交換してしまおうとなるので、結果的に「新築そっくりさん」と同じ様な工事内容になります。
この様に、全面リフォームと併せて耐震補強工事を行うのは、非常に合理的です。
もちろん現行の耐震基準を満たしている住宅の場合は、必ずしも耐震補強が必要でない事もありますが、リフォーム前に耐震診断を行い、リフォームついでに評点を上げておく事は、決して無駄ではありません。
先の熊本地震では、現行の耐震基準を満たしていても倒壊してしまった例もあるからです。
「新築そっくりさん」を真似た他社の丸ごとリフォームでは、耐震補強工事がオプションになっているものも見かけます。
構造上の安全性、耐震性が欠けていては、「新築同様」とはいえません。
見かけだけのリニューアルでなく、機能性や安全性もリニューアルする事が大切です。
「新築の半分の費用で・・・」は本当?
それでは、「新築の様に家をまるごとリフォームして、費用は新築の半分」というのは本当なのでしょうか?
私が勤務していた会社でも、戸建のリノベーションを行っていましたが、耐震性の他、断熱性や気密性などの住宅性能や、電気容量、24時間換気等の設備まで、現在の新築住宅同等の仕様にすると、新築住宅の8割程度にはなっていました。築年数が古く、構造躯体の傷みが激しい場合などは、9割近い金額になる場合もありました。
残念ながら新築の半分の費用でできるとはとても思えませんでした。
実際のところ、新築の半分の費用で新築同様になる事をあてにしていると、後で後悔する事になるかもしれないので、注意が必要です。