ホームインスペクションと既存住宅売買瑕疵保険

住宅は今後益々「量から質へ」の変換が求められる様になります。
一方、質への転換が求められる中で、世の中には様々な情報があふれて、住まい手にとって何が正しいのかわかりずらくなっています。
「インスペクション」を広く認知させ、本格的に活用すべき時代が迫っている様に思います。

さて、中古住宅のホームインスペクションを依頼される方の中には、ホームインスペクションと瑕疵保険を適用するための現場検査を混同される方がいます。
瑕疵保険とは、中古住宅の引き渡し後に発生した雨漏りや構造的な不具合に対し、補修費用を保証する保険です。

中古住宅を購入される方にとって、購入した物件に万一瑕疵や不具合があった場合の保証がどの様になるのかは非常に気になる話です。しかし、契約時にはわからなかったが、引っ越してみたら不具合があったなど、引き渡し後に瑕疵や不具合が見つかる事は決して珍しくありません。
そのような事がない様に、あらかじめ建物を診断・調査して依頼者へ報告するのがホームインスペクションなのですが、ホームインスペクションを行っても保証が付くわけではありません。

中古住宅の売買には宅建業者が自ら売主になる場合と、宅建業者の仲介により元の所有者が売主になる場合(個人間売買といいます)があり、個人間売買の場合は、瑕疵担保免責(買主負担とする)か、売主の責任期間を2~3か月とするのが一般的です。
そうなると、万一引渡後に重大な瑕疵が発見されても、売主に瑕疵の修復に応じてもらう事ができません。
そこで買主が安心して中古住宅を購入する事ができる様に、中古住宅の検査と保証をセットにして、住宅専門の保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)が検査に合格した建物の保険を引き受けるのが既存住宅売買瑕疵保険で、最長で5年間の保証が受けられます。

既存住宅売買瑕疵保険の落とし穴

しかし、瑕疵保険適用のための現場検査の目的は「保険期間中に瑕疵が発生しないかどうか」を見極めるものです。
対象となるのは構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分の欠陥のみで、その他の不具合は対象外となります。
また極端にいえば、保険期間終了後に瑕疵が発見される可能性については言及されないので、6年目以降に瑕疵が発見される可能性があっても保険は適用になります。売主が費用を負担して瑕疵保険がついている場合でも「絶対安心」とは言い切れないのです。

瑕疵保険の検査はあくまでも保険をかけるためのものであって、ホームインスペクションではありません。ホームインスペクションの様に、現在の建物のコンディションの報告や将来のメンテナンス・リフォームについてのアドバイスなどもありません。
中古住宅に長く安心して住み続けて資産価値を高めていくためには、プロによるアドバイスを受けて、定期的な点検・メンテナンスを行う事が不可欠なのです。

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