先日弊社でホームインスペクションを行ったお客様から、「単に住宅の診断を行って結果を報告するのみでなく、不具合のある部分の対処方法のアドバイスを受ける事ができてよかった」というお言葉をいただきました。
ホームインスペクションは、建物の現状のコンディションを調査して依頼者に報告するのがメインの仕事ですが、弊社ではそれだけでは不十分だと考えています。万一不具合を発見した場合は、その原因を過去の経験をもとに推測し、修繕や改善のアドバイスをする事で、依頼者の不安や疑問を解消する事ができると思っています。
そういったアドバイスを行う上では、20年以上のリフォーム業の経験が大いに役立っています。
今後も、依頼された方の不安や疑問を解決するための最大限のサポートを行っていきたいと思っています。
さて、住宅に使用されている建材には、人体に有害なものが古くから数多く使用されてきました。
中でも有名なものとしてアスベストがあります。
アスベストは不燃で耐熱性が高く断熱性に優れているため、建築資材をはじめ様々な分野で使用されました。
耐火被覆としての吹付けアスベストや保温材、屋根の石綿スレートなどは良く知られています。
他にも合板や集成材などに使用される接着剤に多く含まれるホルムアルデヒドや、木材の防腐剤に含まれるクレオソート油、油性ペイントや油性ニスに含まれるキシレンやトルエンなどもシックハウスによる健康被害を引き起こす事で有名になりました。
住宅づくりの効率性を追求するあまり、住宅が住まい手の健康に悪影響を及ぼす事態を招いてしまった典型です。
その他蛍光ランプや水銀ランプの水銀や蓄電池に含まれる鉛やニッケルなど、有害物質は身近なところにも数多くあります。
これらの有害物質は、現在では厳しく規制されているので、新築住宅で使用される事はほとんどないと思われますが、左官材や内装材に含まれている防カビ材や難燃剤などには、有害物質の含有量がゼロとはいいきれないと思います。
また、リフォームなどでこれらの物質(特にアスベスト、水銀など)が含まれている建材を解体する際には、法律で定められた除去方法を守る必要があるので注意が必要です。アスベスト建材を破砕する事により粉塵を飛散させたり、廃材として焼却処分する際にダイオキシンなどの有害な化学物質を発生させる事がないよう十分に気を付けなければなりません。
住宅会社の使命
この様な有害物質が含まれた新建材が多く使用された背景には、大量生産が可能でコストが安く、施工も簡単だった事があります。
またこれらが多く使用された当時の住宅は、気密性が今ほど高くなく、通気性も高かったため、有害物質が比較的室内にこもりにくいという点がありました。
しかし、国や建材メーカーや住宅会社も、健康被害が発生する危険性が全くないとは思っていなかったはずです。
建材メーカーや住宅会社には、「住まい手の健康を守る」使命があります。スマートハウスやゼロエネルギー住宅も結構ですが、住まいを構成するもっと身近な建材や住宅資材から、一つ一つ丁寧に見直す必要があるのではないでしょうか。
近年では、給湯器に体脂肪測定やカロリー測定(入浴中の消費カロリーが確認できるといいます)といった健康管理機能をもたせた商品なども開発されていますが、住まいづくりの原点はもっと違うところにある様に思います。