中古住宅購入とリノベーション

一時期、不動産仲介会社とリフォーム会社が提携して、中古住宅の購入とリフォームをワンストップで提供しようとする動きが活発になった時期があります。
センチュリー21・ジャパンと住宅リフォームのリファインショップを全国展開するパナソニックの提携は、当時業界内で注目を集めました。
ライフスタイルの多様化にともない、新築マンションや建売住宅の画一化した間取りでは物足りないお客様も取り込んで、
中古住宅の購入とリノベーションを併せて提案しようとするものです。
物件購入費用とリノベーション費用を一括した住宅ローンの提供や、住宅瑕疵保険のパッケージ提案など、物件購入とリフォームの窓口がひとつになる以外にも、消費者にとってメリットがあります。
不動産仲介会社もリフォーム会社と提携する事で、構造や法規、工事費用についての有効なアドバイスをお客様に行う事ができ、物件購入の後押しとなるメリットがあります。
リフォーム会社にとっても不動産会社からお客様を紹介してもらえるメリットがあります。
私が勤務していた会社でも同じグループ内の不動産仲介部門と連携し、ワンストップ化を目指しましたがその実現は簡単ではありませんでした。

中古住宅購入とリフォームのワンストップ窓口の問題点

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不動産仲介会社とリフォーム会社では、相反する部分が多かったためです。
仲介会社は取引をスピーディーに効率良く進めたいため、大掛かりなリフォームは避けたいと思っています。
打ち合わせや工事に時間をかけて欲しくないのです。
またお客様の予算が2,000万円であれば、できるだけ高額な物件を購入してもらい、リフォーム費用は安く抑えたいのが
本音です。その方が仲介手数料がたくさんもらえるためです。

一方リフォーム会社の方は、しっかりと間違いのない良い提案をしようと思えばそれなりの時間はかかってしまいます。
なかなか仲介会社の思惑通りには話が進みません。
またスケルトンリフォームを行えば、どんなに古くて汚い物件でも新築同様にできるので、リフォーム会社は安い物件を購入してもらい、リフォームに予算をかけてもらってお客様の要望を実現したいと思います。
不動産仲介会社とリフォーム会社は、どちらがお客様を見つけてきたかでイニシアチブが変わってしまう微妙な関係なのです。
両者が対等な立場でお客様へのサービスにつなげる事ができるかどうかが鍵になります。

しかし物件を探すのは不動産仲介会社の仕事ですから、どうしても仲介会社が主導になってしまいがちです。
その結果、お客様が期待するほど満足度の高い提案がなかなかできません。
総予算が決まっているので、比較的綺麗な物件を部分的にリフォームする程度の提案になってしまう事が多かった様に思います。
その結果、新築マンションや建売住宅と上手く差別化する事ができませんでした。

中古物件を購入して、自分の思い通りにリノベーションして住みたいと思う方は多いと思います。
また、物件の売買とリフォームのワンストップ提案をセールスポイントとする業者も多いと思いますが、その業者に依頼しても本当に自分の要望通りの住まいを手に入れられるとは限りません。
多少手間がかかっても、仲介業者とリフォーム業者にそれぞれ別々に依頼して打ち合わせした方が、要望通りの住まいを手に入れられる事もあります。

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