中古住宅流通市場が活性化してくると、宅建業者の役割や責任は益々重くなる様に思います。
従来、宅建業者にとっては、不動産取引は土地が中心であって、建物に関する知識はそれほど重要視されてきませんでした。
建物の価値は築年数と共にどんどん下がってしまうものなので、重要視する必要がなかったためです。
そのため建物や建築に関して、満足のいく説明ができる不動産営業マンは少ないと思います。
しかし、ストック社会が到来し、行政も中古住宅流通市場の活性化を掲げる中では、宅建業者も土地だけでなく、建物に関する知識や説明が避けられなくなったといえるでしょう。
不動産営業マン(宅建業者)の資格といえば、宅地建物取引士がありますが、そもそもこの資格は建築の資格ではありません。
宅地建物取引士とは、宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格者であり、宅地建物取引業者(一般にいう不動産業者)が行う、宅地又は建物の売買、交換又は賃貸の取引に対して、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実に法に定める事務(重要事項の説明等)を行う、不動産取引法務の専門家です。(Wikipediaより)
一般の方からは建物に関しても専門家の様に思われる事が多いのですが、構造や施工に関して専門知識があるわけではありません。
購入を検討している住宅についての質問に対して、詳しく答えられる不動産営業マンは少ないでしょう。
不動産営業マンから受けた説明を巡って、後々トラブルになるケースも過去にはたくさんありました。
近年では震災被害や欠陥住宅問題を背景に、建物の耐震性や施工品質に対する消費者の関心も非常に高まっています。
中古住宅の売買が増えていくことが予想される中、宅建業者の役割はさらに重大になるものと思われます。
宅建業者が自ら行うホームインスペクションの問題点
昨今では、宅建業者自らホームインスペクションを行うケースも多くなってきました。
以前は建物に大きな問題があっても、瑕疵や不具合を全く知らずに物件購入を奨めていた事を考えると、大きな進歩です。
しかしインスペクションを導入した結果、思わしくない評価となった場合に、故意の隠ぺいや虚偽の報告などの可能性も否定できません。宅建業者にとっては悩ましい問題でもあるでしょう。
宅建業者が自らホームインスペクションを行う場合には、注意を要する部分です。
しかし、中古住宅の取引を安心して行える様にするためには、ホームインスペクションは望ましいサービスです。
よりレベルの高い診断を行う様にするためには、宅建業者には高いモラルが必要になるでしょう。