現在我が国でのプレハブ住宅のシェアは、15%前後と言われています。
プレハブ住宅と言うと、どちらかといえばマイナスイメージの方が多いのではないでしょうか。
しかし、戦後の住宅産業界を牽引してきたのは、プレハブ住宅に他なりません。
現場作業であった住宅建設に工業化手法を取り入れ、品質の均一化、設備や建材の開発、工期の短縮、新たなライフスタイルの提案まで、従来の工務店の住宅とは一線を画す進歩に貢献したのは、まぎれもなく大手ハウスメーカーをはじめとした住宅会社が建てるプレハブ住宅でした。
また、大手ハウスメーカーのブランド力、販売力、マーケティング力は地域の工務店を圧倒するものでした。
しかし現在では、木造住宅でも工場でのプレカットや集成材の活用などで品質の均一化が進み、ハード面での差がつきにくくなっています。
これからのハウスメーカーには、省エネやエコ、ゼロエネルギー住宅などを通じて住宅単体のみでなく、低炭素まちづくりを目指して住生活産業を牽引していく事が求められる様になるでしょう。
一方、在来軸組工法による住宅は、大手ハウスメーカーの台頭や大工の高齢化、就業者数の減少などのため、シェアを下げて来ました。近年での新設住宅着工件数全体に占めるシェアは、55%前後と言われています。
しかし、いまだに根強い人気を持っていて、近年あらためて注目されている様です。
事実、ホームインスペクションを依頼する方は、在来軸組工法住宅の取得を希望している方がほとんどです。
地産地消の観点からも、地域ごとの工務店や木材供給業者、建材流通業者などがグループを形成し、国産材の活用に注力する事は望ましい事だと思います。
また、わが国の伝統工法である在来軸組工法による住宅を長く継承させるためにも、地域の工務店・ビルダーに頑張って欲しいと思います。
2×4住宅は、全着工戸数に占めるシェアが2008年に初めて10%を超えたと言われ、その後も成長し続けてきました。
2×4住宅のシェア拡大の要因として考えられるのは、熟練の大工を必要としない事もあるのですが、耐火構造物として認定され、防火地域での建築や4階建の共同住宅、商業施設などの建設も容易になった事があるでしょう。
在来軸組工法の住宅と比較して、耐震性や断熱性・気密性が高いといったセールストークも有効だったと思われます。
しかし現在では、構造用合板や金物を使用する事で、在来軸組工法でも2×4工法と同等になるため、徐々にそのメリットも薄れてきています。
2×4工法の絶対的な有利性は、合理化された工法にあると思います。
施工やメンテナンスも比較的容易なため、今後さらに高性能化を目指せば、その他の住宅とも再び差別化できる様になるでしょう。
今後の新築住宅市場に注目
住宅の新築着工件数の減少が予想される中、それぞれの工法の住宅が、他との差別化のため、どの様な特徴を打ち出していくのか、今後の新築住宅市場にも注目したいと思います。
昨日は、2年に1度の日本ホームインスペクターズ認定会員の資格を更新するための「更新講習」をWEB上で受講しました。
合計約150分間の動画を見て学習し、50問のテスト形式のEラーニングに合格すると受講完了となります。
今月は資格の更新講習が続きました。