一建設や飯田産業、東栄住宅、アーネストワン、タクトホームなど年間1000戸以上建売住宅を販売する業者は、パワービルダーと呼ばれています。
パワービルダーと呼ばれる主に住宅一次取得者層をターゲットにした建売住宅業者の特長のひとつに、工期短縮があります。
私が勤務していた会社が3~4か月以上かけて建築していたのに対し、パワービルダーの工期はその半分ほどです。
注文住宅と建売住宅の違いがあるとはいえ、その早さはとても真似したくてもできませんでした。
建物の仕様や間取りをある程度標準化しておいて、現場での調整や変更を極力省き、流れ作業で工程をこなさなければ実現できません。工期を短縮する事で年間完工棟数を伸ばし、建築資材の大量仕入れが可能になって更にコストを削減するというのがパワービルダーのビジネスモデルになっています。
ひとつの分譲地内に建っている住宅がどれも同じ様な外観をしているのは、景観の統一といった事だけでなく、外壁材や屋根材を同じにする事でコストダウンをはかったり、似た様な間取りにする事で、設計、施工や積算の省力化をはかっているのです。
多くのパワービルダーは、こうした企業努力で工期短縮とコストダウンを可能にしているといえます。
パワービルダーの問題点
そして年間何千棟も建てるためには、職人の数も相当数になると思います。
しかし、全ての職人が腕のいい職人とは限りません。
同じ分譲地内の建物でも、大工や職人によって当たりはずれがある事は避けられないでしょう。
品質にバラツキが出るのは当然の結果といえます。
現場を管理する現場監督も大変です。人件費を削減してコストダウンをはかるため、一人で何十棟も担当しなければなりません。
品質管理が行き届かなくなっても不思議ではないのです。
しかし、この様な住宅に品質の良いものはないという訳ではありません。
現在の住宅は20~30年前の住宅と比較して全体的には質が向上していて、建物の基本性能やメンテナンス性は格段に上がっています。20年前にはあまり行われていなかった地盤調査もしっかりと行われる様になりました。
以前の建売住宅のマイナスイメージはだいぶ改善されています。
欠陥や不具合のないものを選べば、安価で満足度の高い物件を手にいれる事もできます。
パワービルダーが建てた住宅を購入する際には、しっかりと良い物件を見極める事が何よりも重要だと思います。