数年前に大ブームになった太陽光発電が下火になっている様です。
地球温暖化対策やエネルギー問題を解消するための切り札として、日本の住宅の屋根にソーラ-パネルが次々と設置される様になりましたが、近年では導入を見送る人が増えている様です。
補助金がなくなり、電力会社の買取価格が下がった事が原因ですが、売電収入を目的とする場合はメリットが感じられないのでしょう。
しかし、再生可能エネルギーは国にとっても重要なため、発電効率アップ、蓄電池の機能向上、導入コスト削減などの対策を更にすすめて、普及推進が必要だと思います。
さて、新設住宅着工件数が2016年度の約92万戸から2030年度は約53万戸になるといわれています。
約40%の大幅な減少ですが、近年の少子高齢化に伴う経済成長の低迷、国内市場の縮小などによる所得の減少、空き家の増加などを考えると、あながち大袈裟な数字とは思えません。わずか14年後の事ですが、そうなれば経営破綻や規模を大幅に縮小する住宅会社が増えるはずです。少なくとも現在ある会社全てが、現状を維持できるとは考えられません。
住宅会社の中には、いち早くリフォーム受注に舵を切っている会社もありますが、いまだに新築一辺倒の会社は、今の業態のままでは先行き大きな不安が残ります。
というのも、リフォームには新築工事と異なるノウハウが必要で、新築受注が不調だからといって急にリフォーム事業にシフトしても、おそらく上手くいかないだろうと思うからです。決してお客様に満足してもらえる工事は期待できないでしょう。
これから家を新築しようとする方は、倒産や廃業・撤退などのリスクを考えて住宅会社を選ぶ必要があります。
建物が完成後に万一住宅会社が倒産しても、現在では住宅瑕疵担保履行法があるので、雨漏りや構造耐力上の瑕疵などについては、修繕費用が保険によりカバーされる様になっていますが、住宅の不具合はこれだけではありません。
数の上ではその他の不具合の方が圧倒的に多いのです。
基本構造部以外の不具合については、自費で修理しなければならなくなってしまいます。
また、定期点検などのアフターサービスも受ける事ができなくなるのです。
これから建築する人にとっての14年後は、丁度第1回目の大規模修繕工事の時期と重なります。
「その時に建築した住宅会社は、既に倒産していた」というのは、できれば避けたいものです。
そして最悪のケースは工事中の倒産です。過去にも富士ハウスの倒産など、世間を騒がせた事件もありました。
危険な会社の見分け方
では、危ない会社と安全な会社はどの様に見分ければ良いのでしょうか。
上場企業であれば、決算書などである程度経営状態を調べる事が可能ですが、非上場の会社や地場の工務店だと簡単に決算書を手に入れる事はできません。
だからといって、上場している大手ハウスメーカーなら将来に渡って絶対安心とはいえないでしょう。
かつて世界市場を席捲した日本の家電業界が経営危機に陥っている現状を見れば、容易に想像できます。
14年後までに何があっても不思議ではありません。
「着工までに請負代金の1/2支払い」など、支払い条件が他社と比べてタイトな会社は要注意です。他に無理な値引きをしてまで受注しようとする会社など、資金繰りが悪化している可能性大です。支払い条件は業者を決める前に必ず確認しておきましょう。
また、個人的には前述の様に新築受注一辺倒の会社も要注意だと思います。
その会社で建てる住宅が、他社には真似できない独自の工法やデザイン、性能、コストなどで圧倒的な差別化ができている様なら良いのですが、特に何の特長もない住宅ばかり建てている場合は、この先新築のみで生き残っていくのは難しいでしょう。
そして、クレームの多い会社、顧客満足度の低い会社は一番先に淘汰されてしまうはずです。
住宅会社にとってこれから先は、非常に厳しい時代になると思いますが、建築主となる皆様にとっては逆に追い風になるかもしれません。
良い業者だけが生き残る様になれば、欠陥住宅や品質の低い住宅を掴んでしまうリスクも減ります。
しかしはじめの業者選びは、今まで以上に慎重に行う必要がありそうです。