現場で施工不良が起こるワケ

先月届いた全国古民家再生協会の井上幸一事務局長からのメールの中に、古民家を再生・活用していくために国会議員の方々に要望を聞いてもらう第2回目の会合がおこなわれたとありました。時代は知らないところでも少しずつ変化している様です。
行政としっかり連携して、古民家の有効活用、地方の再生に繋がれば良いと思います。

さて、以前現場で職人が「意図的に手抜き工事を行う事はほとんどない。」という話をしました。
この事は、私自身の現場監督としての経験や、住宅会社の社員としての経験からの話です。
職人であれば(アルバイトや日雇いの職人は除く)、どんな仕事を命じられても決して手を抜く事はしないものです。
皆、自分の仕事にはプライドを持って働いています。

しかし数少ない例外もあります。それは以下のような状況の場合です。
➀日当をきちんと支払ってもらえない
➁現場で遊びが多くて仕事にならない(現場に呼ばれて来たものの、前の工程が終わっておらず、何もできずに待機している時間が多い)
➂元請会社に対して不満が多い
現場に呼ばれて来たものの、仕事が出来ずに日当も払ってもらえない状態が続けば、まともな仕事は期待できなくても当然です。
本人にはわざとという意識がなかったとしても、「良い仕事をしよう」という意識に欠けてしまうのは確実でしょう。

施工不良が発生するにはいくつかのパターンがある!

こうした事が起きる原因は、主に現場監督の力量不足にあります。
職人は呼べばすぐに現場に来てくれる訳ではないので、現場監督は事前に工程表を作成し、前もって職人のスケジュールを抑えておく必要があります。しかし予定通りに現場が進まなければ工程に遅れが生じ、現場で職人を遊ばせてしまう結果になるのです。

また職人の能力を把握して、能力に合わせた仕事をあてがうのも現場監督の手腕です。職人の能力を超えた仕事を依頼すれば、手抜きでなくても満足のいく仕上がりにはなりません。
建築家の設計した住宅に良くある目地なしのタイル貼りや、巾木や廻り縁のない仕上げなどの「逃げ」のない仕上げ方法、漆喰の磨き仕上げ、工芸細工のような造作など高度な技術を要する仕事などは、職人を選ばなければ必ずクレームになるでしょう。

さらに「職人を遊ばせる」、「無理な仕事を押し付ける」となれば、現場監督にも負い目となって、検査で厳しい指摘はできなくなります。
全くの悪循環です。

これは現場で施工不良や欠陥が発生するひとつの代表的な事例ですが、住宅の欠陥が生じるのにはいくつかのパターンがあります。
職人が経験不足で現場監督が無知なケースでは、施工不良があっても誰も気づく事がありません。施工者も知らずに建物を引き渡し、欠陥となるケースです。
逆を言えば、そのような欠陥が生じるパターンを全て無くせば、欠陥住宅予防につながるのです。

優秀な住宅会社では日々、このような分析や対策を検討しています。施工不良は例えゼロにはできなくても、限りなくゼロに近づける努力が必要だと思います。
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水下に設置された防水工事の脱気筒の施工不良の例(脱気筒はできるだけ水上に設置しないと効果が半減します)
施工者も気付いていない?

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