先月以降、工務店、リフォーム会社の社長さんや建築設計事務所の所長さん達と話しをする機会が増えました。
リフォーム会社では時々社員研修なども行っているので、リフォーム会社の社員とも話をします。
住宅業界は今後ますます競争が激しくなる事が予想されるので、他社との差別化はどこでも最重要課題です。
ところが会社によってその受け止め方に格差を感じる事が度々あります。
特に参入障壁が低くて誰でも参入できてしまうリフォーム専門会社の中に、あまり危機感を感じていない会社が多い様な気がします。
リフォーム会社には提案力や顧客満足を売りにする会社が多いのですが、専門知識を持たない一般の方を対象にいくら提案力をアピールしても、それが他の住宅会社やリフォーム会社でできない提案であれば良いのですが、プロとして当たり前のレベルだとしたら何の差別化にもなりません。(今後リフォームはリフォーム会社だけが行うものではなくなります。)
また顧客サービスをうたっていても、どこでもやっているレベルに過ぎない事も珍しくありません。
リフォーム会社に大きな格差が生じてしまうのは、やはり許可不要、資格不要という参入障壁の低さが原因なのでしょうか?
「建築は奥が深い」のに・・・。
建築は奥が深いので、10年やって半人前、20年でやっと一人前といわれる程です。
ましてリフォームは新築を建てるのと比べてもある面では難しい仕事です。
私自身も30年以上この業界にいても、初めて経験する事に出会うのも珍しくありません。
建築家が修業時代に師匠から厳しく指導され、たった一本の線を引くのに試行錯誤を繰り返したり(もちろんそうでない人もいると思いますが。)、大工が長い間の見習い期間を経てやっと親方から一人前と認められるという話と比べると、非常に安易にリフォーム会社を起業するケースが目立ちます。
その結果、リフォームの現場では品質検査さえ満足に行われていない事もあります。
お客様から指摘されたら手直しすればいいと思っているのでしょうが、この「プロ意識の低さ」っていったい何?
もちろん経験豊富な有資格者を雇用すれば、経験がないまま起業しても経営者としては何の問題もないのですが、リフォーム会社には品質検査ができる人どころか検査表やチェックリストさえない事もあるのが大きな問題なのです。
リフォーム会社は「モノづくり」の会社なのだから、どこにも負けない高品質のリフォームを提供できればそれだけで他社との圧倒的な差別化になるはずなのに、ココに力を入れないのが不思議でなりません。
しかし「リフォームだからこんなもん。他の会社もこうだから。構造なんて知らなくても大丈夫。」などという甘えがあったら、いつになってもリフォーム業界のイメージは向上しません。
それによって一番迷惑を被るのはお客様なのですが・・・。
一方リフォーム会社の中にも研修や現場実習などを積極的に行い、社員の育成に熱心な会社もたくさんあると思います。
この様な会社が増えないと、特別な許可や資格が不要で誰でもできるリフォーム会社の社会的な地位はいつになっても低いままです。
今後住宅業界の生き残りをかけた競争は更に熾烈になると思いますが、業者が淘汰される事は消費者にとっても業界にとってもむしろ歓迎すべき事なのかもしれません。