中古住宅のホームインスペクションを行っていると、時々天井にシミのある住宅を目にします。
天井のシミは住宅の危険信号なので、早急に原因を究明して対処しないと家の耐久性に大きな影響を及ぼす可能性があります。
天井にシミを見つけると、多くの人が「雨漏り」が原因と思うでしょう。
しかしシミの原因と思われる事は雨漏りだけとは限りません。
結露や天井裏の配管(給排水管やエアコンのドレイン管等)からの水漏れの可能性もあります。
私が過去に経験したものの中には、天井裏に侵入した動物の尿がシミの原因だった事もあります。
他にも珍しいケースとして換気ダクト内の結露水が漏れていた事もありました。
シミが出ているのが2階の天井だった場合は、雨漏り以外の原因である可能性が高くなります。
屋根からの雨漏りは実はそんなに多くはありません。
単純な寄棟の屋根や切妻の屋根の場合は、万一雨漏りしていれば外から見るだけで瓦がずれていたり、割れていたりするので比較的簡単にわかります。
よほど屋根の形が入り組んでいたり陸屋根(勾配のない屋根)でもない限り、2階の屋根から雨漏りするケースは実は稀なのです。
一方1階の天井にシミがある場合は、様々な原因が考えられるので少し厄介です。
原因が雨漏りだとわかっても、屋根や外壁、サッシ廻りやバルコニー周りなど雨漏りの場所を特定するにも時間がかかります。
また結露は天井裏に断熱材がない場合に暖房で温まった室内の空気が天井材を通り抜けた時に、冬の天井裏の冷たい空気に触れると発生します。
また天井裏の配管やダウンライトなどの金属部分が結露してしまう事もあります。
たかがシミ、されどシミ・・・
ホームインスペクションでは原因を推測することは可能でも原因を究明する事はできません。
万一天井にシミを見つけたら安易に雨漏りと決めつけないで散水調査などを行い、しっかりと原因を究明してから対応することが大切です。
放置しておくと構造材や下地材が腐食して大掛かりな工事が必要になってしまう事にもなりかねないので、「たかがシミ」と甘く見ていると危険です。