一般社団法人不動産流通経営協会の平成29年3月付の資料によると、東京23区全体の平成27年度既存住宅流通比率は50.5%で、既存住宅流通量が新設住宅着工総数をわずかながら上回っています。
もっとも比率が高いのが港区の62.6%で、次いで渋谷区・目黒区(61.9%)、豊島区(61.6%)と続きます。
一方、その他首都圏(1都3県)では横浜の47.7%がもっとも高く、次いで千葉県市川市43.1%(浦安市、鎌ケ谷市を含む)、千葉県船橋市41.9%(八千代市を含む)となっています。
弊社がある千葉県千葉市(習志野市を含む)は39.6%で前年よりも0.9%減少しているものの、流通件数では前年の5,790件から6,280件に増加しています。
中古住宅流通の拡大が予想されている中で地域によるバラツキがあるものの、首都圏全体ではそれほど大きな変化が見られない様に思えます。
今後ホームインスペクターに求められること
国は空き家対策として中古住宅の流通を推進する中で、新築の抑制は行っていません。
新築の抑制を行わない限り中古住宅の流通が大幅に伸びるとは到底思えませんが、来年4月に行われる予定の宅建業法の改正(宅建業者によるホームインスペクションの説明、あっせん)をビジネスチャンスと捉えて、ホームインスペクションを行う会社が増えている様です。
ホームインスペクションを広く普及させて、既存住宅購入前に建築士による調査・診断を行う機会が増えるのは非常に良い事だと思うのですが、調査を行う会社や個人の経験やスキルによって、調査の質や報告内容に大きなバラツキが出るのが懸念されます。
ホームインスペクターには国の定める調査を行うだけでなく、いかに付加価値を提供できるかが今後益々求められる様になると思います。
その中には「人と住まいのより幸せな関係を追求し、その思想を世の中に広める」啓蒙活動も必要だと思います。