ホームインスペクションで床下の調査を行うと、比較的築年数の浅い戸建て住宅でも、床下に湿気がこもっている事があります。
実際に土台や大引きなどの木材の水分量を測ると、20%を超えているケースも稀にあります。
木材の水分量が20%を超えると、木材腐朽菌が繁殖して腐食したり、白蟻被害を受けやすくなるので厳重に注意する必要があります。
原因はほとんどのケースが床下の換気・通風不足です。
近年では基礎パッキンを採用した一戸建て住宅が主流になっています。
基礎パッキンとは、土台と基礎の間に挟む厚さ2㎝ほどの通気を目的とした緩衝材の事で、基礎に床下換気口の穴を開けなくても良いので、従来よりも強固な基礎を造る事ができ、かつ床下換気口よりも湿気がこもりにくくなるスグレモノです。
ところが空気が通る基礎パッキンの穴を、外側からモルタルで塗りつぶしてしまっている事があります。(写真1)
これは明らかな施工ミスですが、こうなるとパッキンから床下に空気がほとんど入らず、床下に湿気がこもるのは当然です。
また気をつけなければいけないのは、新築工事中の施工不良だけとは限りません。
写真2は、完成後に後付けでウッドデッキを設置した例ですが、そのために基礎の床下換気口からの通風がかなり悪くなってしまっている例です。
室内の床の高さとウッドデッキの高さの段差をなるべくなくそうとすると、床下の換気が阻害されてしまいがちです。
このケースでは、建物の南面一面にウッドデッキを設置しているため、南面の床下への通風が極端に悪化しています。
使い勝手は良いのですが、ひと工夫必要です。
その他、床下換気口の前に物を置いているため、通風を遮断しているのも良く見かけるケースです。
少しわかりにくいですが、写真3は床下換気口が2か所物でふさがれています。
建物の耐久性に悪影響を及ぼす可能性が高いです。
住む人の不注意ですが、建築会社はこの様な生活していく上での注意点を、住まい手にしっかりと説明しておく必要があります。
一般的には軽視されがちな床下の通風ですが、建物を長持ちさせるためには非常に重要な事です。
床下の湿気は、建物の木材を腐食させるだけでなく、白蟻の発生や接合金物に錆びを生じさせる結露の発生など、建物の強度にも悪い影響を与えます。
ちなみに写真2と写真3は同じ家のものですが、床下の木部の水分量を計測すると、20%を大きく超えていました。
換気機能が低下しない様、住む人にも日頃から配慮が必要です。
写真1 換気のための基礎パッキンの穴をモルタルで塗りつぶしてしまった例
写真2 ウッドデッキを後付けしたために、床下の通風に不具合が生じている例
同様に基礎パッキン工法の場合に、バリアフリーでウッドデッキを後付けする際も要注意
写真3 基礎の床下換気口の前にモノを置いて、空気の出入り口をふさいでしまっている例