長くベストコンディションを維持するためのインスペクション診断評価

リフォーム前でも、中古住宅購入前でもホームインスペクションを依頼される建物はそこそこ築年数の経過した建物が多いのですが、中には非常に丁寧に建てられたと思われるしっかりとした造りの建物に出会う事も少なくありません。

しかし、現在の建築基準法にあわせて評価すると、どうしてもマイナスポイントばかりを指摘する様になってしまいます。

インスペクションの診断評価はどうあるべきか

建築基準法は過去に数多くの改正がされ現在に至っています。
特に大地震と共に大きな改正がありました。中でも1981 年(昭和56 年)の改正から新耐震という一線が引かれ、その
後も改正を繰り返して厳格化しています。
ホームインスペクションでわかる事でも、筋交いや構造耐力上主要な部分である継手や仕口(二つ以上の材の接続部分)の緊結方法や接合金物など、建築された年によって仕様が異なります。

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また、住宅に求められる環境性能や耐火性能なども時代により変化しています。
古い建物になればなるほど断熱材が使用されている部分が少なくなり、施工方法も現在とは異なるのです。築30 年を超える様な住宅で床下に断熱材が入っている事はあまりありません。

また、天井や壁の断熱材にも隙間が多く、十分な断熱性能が期待できそうにないものが多いです。当時の住宅には断熱性能が現在の住宅ほど求められていなかったのでしょう。

公庫融資で断熱工事が義務化されたのは1989 年のことなので、それ以前の住宅では断熱材が全く入っていなくてもめずらしい事ではないのです。
地盤に対する考えも変わりました。現在では家を建築する前には必ず第3 者で地盤調査を行って地耐力を調査してから基礎の設計を行い、必要に応じて地盤改良を行います。20 数年前には、このあたりは地盤が良さそうだから特別な事は必要ないだろうといった感覚で基礎の設計を行うのが普通だったと思います。

この様に築年数が経過した建物ほど、現在の建築基準を満たしているケースは少なくなってしまうのですが、だからといってこういった住宅が粗悪なものなのかというと、そうとは限りません。

現在では入手するのも困難な木材や銘木が使用されていたり、大工の技術が素晴らしい建物にめぐりあう事もあります。こうした古い住宅が現在でも大きな不具合もなく、良いコンディションを維持していれば、購入を検討する価値は十分にあります。

私達インスペクターの役割は建物のあら探しをする事ではありません。事実は事実としてありのままに報告する事になるのですが、建築当時の一般的な工法や仕様なども考慮しながら診断を行う事がインスペクションの本来の目的である中古住宅流通やリフォームの活性化のためには必要な事ではないでしょうか。

そして価値ある建物がこの先できるだけ長くベストなコンディションを維持できる様、適切なアドバイスを心がけていきたいと思います。

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