裁判外紛争解決制度(ADR)とは?

身の周りで起こる様々な揉め事やトラブルを解決するためには、裁判で解決する方法が広く知られています。
自分の正当性を主張して、白黒の決着をつけ、相手の責任を追求する事を望むのなら、裁判以外にはありません。
しかしいざ裁判による解決を求めようとすれば、時間もお金もかかりそうです。
また裁判をするとなると、内密にしておきたい情報まで法廷で公開しなければならなくなる事になるかもしれません。
そして裁判の結果、必ずしも自分の希望通りになるとも限りません。

実際に企業を相手にした「泣き寝入りか裁判か」の二択では、やむを得ず「泣き寝入り」となるケースが多いと思います。
そこでなんとか裁判によらずに、当事者同士の話し合いで解決したいと思う方も多いでしょう。
欠陥住宅や契約に関する建築トラブルの場合でも例外ではありません。
裁判よりももっと簡易・低廉・柔軟に揉め事を解決する方法はないのでしょうか?

このような民事上のトラブルについて、裁判以外の方法で解決しようとするのが「裁判外紛争解決手続(ADR)」と呼ばれる方法で、一般的には「調停」や「あっせん」と言われています。
調停については、裁判所で行われているもの以外に、行政機関や民間事業者が行っているものもあります。

調停人に求められる能力

民間事業者が行うADRでは、当事者と利害関係のない公正中立な第三者が「調停人」としてトラブルになった当事者の間に入り、専門家としての知見を活かしながら、話し合いによって柔軟な解決を図ります。

もちろんこの調停人には、誰もがなれるわけではありません。
しかし、平成19年の通称ADR法の施行により、弁護士または弁護士法人でなくても法務大臣から認証されれば報酬を得て和解の仲介ができるようになりました。
そして、調停人となるためには➀法律知識、➁紛争分野の専門性、➂ADR技術の3つの能力要件を満たす必要があるとされています。
建物診断・調査(ホームインスペクション)を行う者が調停人として認証を受ければ、住宅に関するトラブルにも今まで以上に踏み込んだ対応が可能になり、トラブルを解決する手法の幅が広がりそうです。

JSHI公認ホームインスペクターは、不動産の施工に関する専門性を有する者として認められる様になったので、20時間ほどの法律知識及びADR技術に関する研修を受講すれば、不動産の施工に関する紛争の調停人となる事ができます。

昨今では住宅の施工不良や契約上のトラブルについて相談を受ける機会も増えてきました。
建築は現場で人間の手作業で行うものなので、ミスを完全になくす事は困難です。
住宅トラブルは今後もなくなる事はないと思うので、社会的役割を果たす意味でも、私も近いうちに調停人研修を受講したいと思っています。

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