また違法民泊施設で事件が起きました。
以前から違法な民泊施設での犯罪が懸念されていましたが、無許可営業の施設に対して指導を行おうとしても事業者が特定できずに、実態の把握や指導が追い付いていないのが現状だそうです。
犯罪の温床となる危険性の高いこうした違法民泊に対する対策を急がないと、近隣住民までが危険にさらされてしまいます。
今後、こうした事件が再発しない事を願います。
さて、建築基準法や消防法などの住宅関連の法律は、過去に何度も法改正が行われてきました。
また、住宅性能の基準も年々変化しています。
中古住宅をご購入の際には、物件の建築時期を確認し、その時代の法令や基準がどの様なものだったのかをあらかじめ知っておく事で、物件の購入判断の目安になると思います。
築年数による物件の目安
まずは建築基準法の耐震基準です。
1981年(昭和56年=築37年)
建築基準法施行令が大改正されました。
木造住宅においては壁量規定の見直しが行われ、床面積あたりの必要壁長さや軸組の種類・倍率が改定されました。
これを境に、1981年以降に建築された建物を「新耐震基準による建物」と呼ばれる様になっています。
しかし、この時代に建築された住宅が大地震で倒壊する可能性は、決して低くはありません。
耐震診断を行うと耐震補強が必要になる場合があります。
2000年(平成12年=築18年)
地盤調査が事実上義務化される様になりました。
また継手や仕口に金物の使用が必須になり、耐力壁配置にバランス計算が必要になりました。
この年以降に建てられた住宅は、大地震にあっても一応倒壊しないといわれています。
一部の専門家の中には、2000年以降に建築されたものを「新耐震基準」と呼ぶ場合があります。
次にシックハウス対策です。
2003年(平成15年=築15年)
シックハウスの原因となる化学物質の室内濃度を下げるため、建築物に使用する建材や換気設備を規制する改正建築基準法が施行されました。
この年以降、換気設備の設置(24時間換気システム)が義務付けされる様になりました。
その他の基準や関連法の改正
1999年(平成11年=築19年)
次世代省エネルギー基準により、外壁、窓などの断熱性能に関する「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計及び施工の指針」が定められました。
これ以降、住宅会社の断熱施工に対する意識が少しづつ高まる様になりました。
それまでは断熱工事に対する現場の理解度が低く、「断熱材はとりあえず入れておけば良い」という隙間だらけの施工が多く、中には断熱材そのものが施工されていない事例もあります。
しかし断熱材の施工については、建築基準法には直接的な基準がないため法的拘束力がありません。
断熱材の厚さについても、地域ごとに適切な厚さが推奨されていますが、法的な規定はありません。
2000年(平成12年=築18年)
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)が施行され、新築住宅については、柱・梁・床・屋根など住宅の構造耐力上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分について10年間の瑕疵担保責任が義務付けられました。
2006年(平成18年=築12年)
改正消防法が施行され、住宅用火災警報器の設置義務化が行われました。
既存住宅においても各市町村の条例で定める期日までに火災警報器等の設置が義務付けされているので、設置していない中古住宅には設置が必要です。
その他には2006年(平成18年)の建築物におけるアスベスト建材の使用規制などがあります。
以上おおまかな法改正や基準の制定を上げましたが、ホームインスペクションを行っていると、建てられた時期によって建物には明確な違いが見られます。
ある程度建築時期による物件のポイントを知っていると、ホームインスペクションの結果を聞いて必要以上に動揺したり、失望しなくてすむ様になると思います。
法改正前の基準で建てられた建築物は、現行の建築基準に適合していない場合があります。
このうち、建築した当時は建築関連の法令を満たしていたが、法改正などにより現在は満たさなくなったものを既存不適格とよび、違反建築や欠陥住宅と区別されています。(こうした物件に罪はありません)