大工が大幅に減少して、家が建たない時代が来ることが懸念されています。
野村総合研究所では、大工の人数が2015年度の35万人から、2030年度には21万人に減少し、住宅の建築需要に対応できなくなる可能性が出てきたと発表しました。
プレカットやパネル化など大工作業を工業化して、深刻化する大工不足への対応も行われている様ですが、技術の伝承という面が犠牲になってしまいます。
工業化や機械化などの生産性の向上も必要なことですが、家づくりは単に効率だけでは語れません。
「心が通う住まいづくり」には、「匠の技」が必要です。
一時は子供たちの間で、プロ野球選手やサッカー選手に次いで「将来なりたい職業」の上位に位置していた大工職。
労働環境や所得の問題など様々な障害がありますが、子供たちが憧れる職業になる様、業界全体で改善していく必要があります。
建築技術者不足のために建設業法改正も・・・?
一方、国土交通省は、違法な長時間労働を前提とした短い工期の設定を禁止するための建設業法の改正案を、2019年の通常国会に提出する考えだといいます。
発注者が工期を設定する工事のほか、受注者側が工期を提示する民間工事も対象とし、適正な工期を設定するための基準(工程表)を作成して、基準に沿った工期の設定を受発注者双方に求めるとされています。
また、不当に短い工期を設定している発注者に対しては、適切な措置をとるように勧告するとの事。
目的はもちろん建設業の総労働時間の短縮です。
そして、建設現場における監理技術者不足も深刻な問題になりつつあります。
中小の建設会社では、監理技術者になれる有資格者(一級建築施工管理技士、一級建築士等)の数が限られるため、受注したい工事があっても断念せざるを得ない場合があります。
(建設業の許可や有資格者に関して無秩序なリフォーム業界とは異なり、建設業界ではこの点はシビアです)
今後さらに建設業における技術者不足が懸念されることから、国土交通省は一人の監理技術者に複数の工事現場の兼務を認める規制緩和の検討を始めたそうです。
「補佐役の配置」などの一定の条件を付加すれば、やむを得ない処置だと思います。