北海道胆振東部地震の専門家による被害状況調査が進んでいる様です。
今回の地震では、「液状化」が原因とみられる家屋の沈下や路面の陥没などが多発したとのことで、被害状況がとても気になっていました。
液状化による建物被害は、私も2011年の東日本大震災の際に千葉県浦安市などで身近に体験しました。
今回の札幌市清田区の被害では、建物の沈下方向や路面などの陥没・沈下方向とかつて存在した(現在は造成されてなくなっている)谷との間に関連性があり、建物・路面の傾きは谷の中心側および下流側に向かっていることがわかったといいます。
毎回大きな地震が発生すると、建築の専門家や地質学者等による被害状況や被害原因の調査が行われていますが、調査結果に基づく対策は一向に進んでいないのが現状です。
我が国の住宅の耐震化率は相変わらず低いままで、公共建築の耐震化率も決して十分とはいえません。
それどころか無知なリフォーム業者が行うリフォーム工事によって、新築当時よりもさらに耐震性を低下させてしまっている住宅も少なくありません。
東日本大震災で大きな被害を受けた千葉県浦安市でも、特別な液状化対策を行った様子はありません。
対策には当然費用がかかるので、すぐに対策を行うのは困難だと思いますが、問題なのは時間の経過とともに人間の記憶が薄れていってしまうことです。
今年6月に発生した大阪北部地震でのブロック塀倒壊による被害も、すでに忘れてしまっている方も多いのではないでしょうか。
今後築浅の住宅が液状化により傾いた場合、住宅会社が補修義務を負う可能性がある?
今までは自然災害が発生し大きな被害を受けると、ほとんどが「想定の範囲外」とされてきました。
東日本大震災で発生した浦安市での液状化による被害も想定の範囲外で、住宅会社が損害賠償を命じられることはありませんでした。
しかしこれだけ大きな自然災害が続けば、もはや想定の範囲外とは言えなくなるでしょう。
今後液状化の恐れがある地盤に建築する際の設計者や施工者は、沈下を予防するための義務を負うことになるかもしれません。
新築の際に行う一般的なスウェーデン式サウンディング(SS)試験では、液状化の判定は難しく、専用の試験を依頼する必要があります。
また地震による液状化は地盤保証の適用外です。
今後地盤調査会社から「液状化の恐れあり」という報告があった場合、どこまで費用をかけて対策を施しておくのか、住宅会社と建て主が良く話し合って、合意しておくことが大切です。
東日本大震災での液状化の様子