最近少しづつ利用される方が増えてきたと思われるホームインスペクション。
既に欧米諸国では当たり前になっているので、今後日本でも徐々に普及していくと思われます。
多くは住宅の売却を検討している方(売主)や、住宅の購入を検討している方(買主)が中古住宅の売買契約前にホームインスペクションを行い、契約後のトラブルを回避することを目的としています。
事前に取引の対象となる建物が現在どのような状態であるのかを専門家に調査してもらい、それを双方が把握した上で取引を行うことで、安心して中古住宅の取引を行う事が可能となります。
その他では住宅をリフォームする前に、「リフォームに併せて行っておくべき修繕内容を第三者の専門家の立場からアドバイスして欲しい」との理由で依頼を受けることがあります。
もちろんホームインスペクションを行う住宅診断士は「中立、公平な立場」で診断を行うことが大前提です。
そのため「売主」「買主」を含む特定の誰かが有利になるような発言や行動は厳禁で、調査で得た客観的事実だけを報告する必要があります。
ただし求められればあくまでも個人的な見解とお断りした上で、不具合の原因、欠陥や劣化の程度、改修にかかる費用、リフォームが必要な箇所、最適な補修方法などについてのアドバイスを行う事があります。
むしろこうしたアドバイスが可能かどうかがインスペクター(住宅診断士)の能力の差になると思います。
中古住宅売買時のホームインスペクションは改修工事・リフォーム経験豊富なインスペクターに依頼を!
中古住宅を購入する際には、改修工事が必要になることが珍しくありません。
改修する場所やその状態によって、改修方法や改修に必要となる費用は様々です。
その時にリフォーム会社から予想以上の見積金額を提示されて、資金不足になってしまう様ではいけません。
また中古住宅購入後に想定外の修繕費用が発生すれば、売主との金銭トラブルに発展してしまうケースもあります。
ホームインスペクションは、単に住まいの劣化状況や欠陥の有無、改修すべき箇所などを見極めるだけでは十分とはいえません。
中古住宅をプロの目で調査診断すると、ほぼ100%の確立で何らかの欠陥や不具合が見つかります。
ホームインスペクションで見つかった欠陥や不具合を「どの様な方法で改善するのか」「費用はどれ位かかるのか」などの適切なアドバイスが必要になります。
ホームインスペクターには住宅の設計や監理、耐震診断、改修工事やリフォーム、不動産などそれぞれの得意分野があります。
長年住宅設計に携わっていても、建築現場にはほとんど出向いたことがないという建築士も珍しくありません。
そして建物の構造によって得意・不得意があります。
大手ゼネコンの建築技術者が木造住宅を熟知しているとは限りません。
ホームインスペクター(ホームインスペクター会社)を選ぶ際には、保有資格だけでなく経験や過去の実績、診断内容、現場経験などを是非確認して欲しいものです。
いくら診断実績が豊富な大手インスペクション会社に依頼しても、担当するインスペクター個人が経験豊富とは限らないためです。
また、ホームインスペクションは「リフォーム工事を受注するため」や「住宅を販売するため」に行うわけではありません。
客観的な意見を伝え、依頼者の判断基準となる事実を提供することが目的です。
リフォーム会社や不動産会社がホームインスペクションを行う事は、決して否定するものではありませんが、客観的な診断と報告が行われることが前提になるのはいうまでもありません。
わざわざ中古住宅購入で失敗しないためにお金をかけてホームインスペクションを行ったのに、インスペクション会社選びで失敗したら何のためのホームインスペクションなのかわかりません。
ホームインスペクター選びには十分気をつけて欲しいと思います。
中古住宅の購入にはリフォームを伴う事が多い。
ホームインスペクターは現状の問題点を的確に把握し、適切なアドバイスを行うことが不可欠。