国土交通省は12月3日に開かれた有識者会議で、住宅・建築物に対する省エネ規制に関する今後の施策の骨子案を示しました。
その中で、従来予定されていた省エネルギー基準への一律な適合義務化が、小規模住宅・小規模建築物については見送られることになりそうです。
小規模住宅では、現在の省エネ基準への適合率が低い事や、対象となる戸数が多い割には削減効果が低い事(エネルギー消費量は全体の3割弱)、来年10月に予定されている消費税率の引き上げによる取得負担の増加による経済の冷え込み懸念などが理由の様です。
一方、大手の住宅会社が供給する住宅については、一定の基準への適合を求めることになりそうです。
流通時の省エネ性能の表示の仕方を明確にしないと、消費者が混乱しそうです。
住宅診断を行う際にも、省エネ性能の説明が行える様になる必要がありそうです。
また、今後は少子高齢社会で住宅市場が縮小するのは明らかです。
それに伴い企業の選別淘汰や二極化が加速する中で、他社との差別化が不可欠です。
これから家を新築するなら、住宅会社は省エネ基準に適合させる努力を怠ってはいけないでしょう。
その流れは何も新築だけにとどまらず、リフォームにも波及するはずです。
一方、住宅の省エネ化が進めば必ず湿気の問題が増え、結露やカビの発生が心配です。
住宅の設計者は、省エネに比べて湿気への関心が非常に低いのが気になります。
湿気は建物の耐久性の面で大敵です。
住宅建築に携わる技術者は、省エネ性能の必要性と共に、その弊害対策についてもきちん理解しておく事が大切になるでしょう。
2019年に向けて
さて、2018年も残り少なくなりました。
今年は4月に宅建業法の一部改正が行われ、宅建業者に対して既存住宅取引時における「インスペクションの説明」が義務付けされる様になりました。
しかし改正前から予想していた通り、上手く機能しているとはいえないようです。
現行制度の問題点は、すでに何度もここでお話している通りです。
そもそも現行の制度下では、住宅の買い手が求めている情報を満足に提供できるとは到底思えません。
今回の改正の内容は、早期に見直しが必要でしょう。
弊社では、中古住宅の買主が本当に求めている情報をわかりやすく正確に提供すべく、これからも努力していきたいと思います。
2019年もよろしくお願い申し上げます。
お知らせ
弊社は12月29日から1月3日まで年末年始休業とさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。