住宅に使われる仕上げ材として健康素材、自然素材が人気です。
注文住宅のみならず、リフォームでも頻繁に利用されています。自然素材をセールスポイントとした住宅やリフォーム会社も数多く存在しています。
無垢のフローリングや壁材、自然塗料、調湿効果の高い建材など、確かに心と身体の健康に良いイメージです。
中でも珪藻土は人気があり、結露・カビ対策としてマンションでも広く使われています。
私も珪藻土がブームになりつつあった頃、いち早くマンションリフォームで採用した事がありましたが、残念ながら後悔する結果になってしまいました。
今回の話はその失敗談です。あまり話したい事ではないのですが、これから新築やリフォーム、住宅の購入を考えている方には参考になると思います。
健康素材珪藻土の失敗談。長所ばかりでなく必ず短所があるもの。
採用するきっかけとなったのはやはり結露対策でした。築25 年位(当時)の中古マンションでしたが特に北側に面する子供部屋の結露が酷く、壁紙はカビで真っ黒で部屋中にカビ臭が発生し、とても生活などできそうもない状況でした。吸放湿機能がある壁紙に貼り換えてもほとんど効果がないとの事だったので、下地となる石膏ボードを貼り替え、断熱材を入れ、仕上げ材として珪藻土を提案しました。
ところがしばらくすると珪藻土からもカビが発生し、いっこうに改善している様子はありませんでした。カビ臭に関しては更に酷くなっているとも思えました。
現在は珪藻土にも様々な種類がありますが、当時私が採用したのは自然素材100%が売りの商品で、防かび剤等の添加物を一切含んでいませんでした。珪藻土からカビが発生するという事は湿気を吸収しているという事なので、しっかりと機能していたといえるのですが、湿気を吸収する力は強くても放出する力が弱く、内部が常に飽和状態になっていた事が推測されます。
吸湿性能の高い珪藻土ほどカビが発生しやすいのかもしれません。防かび剤を含んでいない事もカビを抑制できなかった事の一因だったと思います。だからといって決して珪藻土がダメという訳ではありません。
私はその後も度々珪藻土をリフォームで使用しましたが、このような問題は起きていません。
珪藻土を使用する場合、建物の構造、周囲の環境、珪藻土の種類、量が問題だと思います。マンションの極端に湿気がたまりやすい状況で安易に使用するのは避けた方が良いでしょう。また古いマンションになると換気口や吸気口等の換気対策が不十分な事も多いので、この点にも配慮が必要です。空気が動かず、湿気が滞留する様な場所には珪藻土は適していないと思います。
また珪藻土と似た様なものとして、ホタテの貝殻や火山灰、墨などを利用した建材がありますが、どれも絶対ではないでしょう。
「健康素材・自然素材は身体に良い」というのは決して間違いではないのですが、使い方を良く吟味しないと期待する効果は得られません。
どんなに優れた素材であっても、長所ばかりでなく必ず短所があるものです。