中古住宅の購入で注意すべき屋根材とは?

先日、国土交通省が公共工事の入札の際に予定価格の算出などで使用する労務単価を、3月から引き上げるという記事を見ました。
1997年度以降の最高額となる様で、最近の労働者不足を反映しています。
また、設計や測量などの技術者単価も最高額に改定する様です。

職人不足、技術者不足は住宅建築の現場でも顕著で、顧客からの依頼があっても職人がいないため請け負えないといったケースも増えているといいます。
特に大工不足は顕著で、大工工事を外注化する現在の住宅会社のやりかたでは、事業を拡大するどころか継続するのも難しくなってきています。

一部のハウスメーカーや工務店では、いちはやく大工育成に取り組んでいて、今後こうした流れが拡大していくと思います。

さて、ホームインスペクションを行っていて、ごく稀に著しく劣化が激しい屋根に出会うことがあります。
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屋根材の先端部にこのような剥がれがみられたら、塗り替えでのリフォームはできません

この屋根材は、一見一般的な化粧スレート(カラーベスト、コロニアル)の様に見えますが、大手建材メーカーのニチハが1996年~2008年まで製造・販売していた「パミール」という商品で、ケイミュー(旧クボタ)のコロニアルとは全く異なる特性を持っています。

パミールの吸水率はコロニアルの約2倍といわれ、築10年を超えると層状の剥がれが発生し、やがて屋根材の裏面に湿気がたまり、屋根材を固定している釘が腐食して屋根材が飛散する事故が報告されています。
塗り替えでのメンテナンスは不可能で、カバー工法による重ね葺きか、屋根葺き替えの選択肢しかありません。
(カバー工法によるリフォームも、吸水率の高いパミールは内部結露が発生して野地板が腐食する可能性が高いので、個人的にはあまりおすすめできません。)

パミールと他の化粧スレート屋根材の見分け方

パミールは現在販売されていませんが、販売当初に建築した家で20年超、販売終了間際に建築した家で10年が経過しているので、今後リフォーム時期を迎える家も多いと思います。
これから中古住宅を購入する場合には、パミールで葺かれた家を購入すると予想外のメンテナンス費用がかかってしまう場合があるので、注意が必要です。

一般の方には、コロニアルとパミールの区別はわからないと思いますが、屋根材の表面に層状の剥がれが見られたら、ほぼパミールと思って間違いありません。
剥がれは上の写真の様に、屋根材の下端の木口を中心に剥離し始めるのが特徴です。

また、設計図書ではカラーベストやコロニアルと表記されていても、実際にはパミールが使われているケースも多いので、直接現地で確認することが大切です。
物件下見に行く際には、双眼鏡やデジカメの拡大機能を使って確認すると良いでしょう。

パミールの剥がれを放置しておくと、落下事故や飛散事故につながる可能性が高く、被害者から高額な賠償責任を求められる恐れがあります。
定期的に点検を行い、早めに屋根の葺き替えを行わなければならなくなるので要注意です。

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