中古住宅の買主様から依頼されるホームインスペクションの物件の中には、時々築3年以内の築浅物件があります。
中古住宅のホームインスペクションは、目視で住宅のコンディションを把握して報告する業務なので、このような築浅物件では経年劣化も少なく、大きな瑕疵でもない限り指摘事項は少なくなるのが普通です。
またホームインスペクションは建物の完了検査とは異なるものなので、診断対象となる住宅が現状で各種建築関連法規に適合しているかどうかや、設計図書どおりに施工されているかどうかなどについては、調査項目に含まれていません。
しかし築浅の住宅の場合には、目視可能な範囲で施工不良があった場合には必ず指摘を行う様にしています。
特に多いのが、接合金物の取り付け不良や、石膏ボードのビス間隔の不良(耐震性に影響する部分)、断熱材の施工不良などです。
これらの不具合は新築当初からのものであり、本来であれば建物の竣工検査の際に指摘されて、手直し後に引き渡しされるべきものなのですが、床下や小屋裏では意外と多くみられます。
こうした不具合があることは、当然売り主様も知りません。
ひとつひとつの不具合は軽微なものでも、問題なのは隠れた部分に不具合が見つかった場合には、他にも不具合がある確率が高いという点です。
このようなケースでは、より細心の注意をして調査を行う様にしています。
(図面を見れば、欠陥や不具合が生じやすい場所はあらかた予想ができます)
一方、中古住宅に完璧な物件などほとんどありません。
ほぼ100%の確率で何らかの指摘事項があるものです。
新築住宅でも完璧に施工された住宅は少ないので、中古住宅に何らかの経年劣化や不具合があるのはある面では仕方がありません。
重要なのはそれをどこまで許容できるかということで、人によって異なります。
引き渡し後にリフォームを考えている場合などでは、現在の不具合をリフォームに併せて簡単に直すことができる場合もあります。
住宅のどの部分にどの様な不具合があるのかを知っておくことが大切なのです。
弊社では買主様がより正しい判断を行うことができる様に、事実をありのままに報告することが大切だと思っています。
築浅住宅で良くある不具合事例(断熱編)
1.床下の断熱材が施工されていない箇所がある(入れ忘れ?)
2. 別の物件の屋根裏の様子
屋根裏の壁の反対側が居室になっているため断熱材が必要ですが、上部に隙間が空いている。
これだけ隙間があると断熱効果が著しく低下するので、屋根裏の熱が伝わりやすい
上記はいずれも千葉県内の築3年未満の住宅のインスペクションを行った時のものです。
1,2共引き渡し後に手直しすることは比較的容易です。
尚、宅建業法上の既存住宅状況調査では、このような項目は調査対象外となっているので、報告されないことが多いと思います。