木造住宅の耐震化

熊本・大分両県で14日から続発している地震の被害は今も拡大を続けていて、住宅の損壊は2,442棟(うち全壊は400棟)におよび、一部ではまだ調査できない地域もあって、今後も損壊の棟数が増えるのは必至だといいます。(4月17日 20時46分 毎日新聞)
ニュース映像を見ていると、比較的新しい建物でも倒壊してしまった例もある様に思われます。
建物の倒壊による圧死で亡くなられた方も数多いと聞き、住宅の建築に携わる者として非常に悲しい思いで一杯です。
これ以上被害が拡大する事のない様願うばかりです。

大きな地震が発生するたびに住宅の耐震化が叫ばれ、国も耐震化を推進していますが、東日本大震災後でも住宅の耐震化は思うように進んでいません。景気の低迷や、高齢者世帯を中心に費用負担が大きい事が原因と思われます。子の家族との同居が増えれば、建て替えやリフォームが増え、住宅の耐震化も進むと思いますが、高齢者のみの世帯だと費用負担が大き過ぎます。
今後、家全体の耐震補強のみでなく、家の一部を耐震シェルター化する等の対策を急ぐ必要があるでしょう。

我が国の住宅の耐震化率82%は本当か?

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国土交通省によると、全国の住宅の耐震化率(耐震性があるとされる住宅の比率)は2013年の時点で82%だそうです。
一方、日本木造住宅耐震補強事業者共同組合(木耐協:全国の工務店・リフォーム会社・設計事務所などから構成される団体)の調査によると、「新耐震住宅」でも、建築基準法が再改正される2000年5月以前に建った木造住宅の約8割に十分な耐震性がないといい、国が1981年6月以降に建てられた住宅(新耐震住宅)は安全基準を満たしているとしている点とは大きく異なっています。

木耐協の見解は、住宅が危険だとして恐怖心を煽り、耐震補強工事を受注するためのものだという声もある様ですが、実際にインスぺクションを行うと、確かに「新耐震住宅」だからといって必ずしも安全だとはいえないというのが私の意見です。

設計の時点では仮に耐震基準を満たしていたとしても、必ずしも設計図面通りに施工されているとは限りません。検査にも見落としがあります。また、住宅の耐震性は、日常のメンテナンスにも大きな影響を受けます。メンテナンス状況は一軒ごとに異なるものです。
他にも不適正な増改築工事やリフォームによって、耐震性が損なわれている事例も数多く見てきました。
国土交通省が発表している程、住宅の耐震化率は高くないと考えるのが妥当でしょう。

そして、耐震診断で「一応倒壊しない」との結果が出たとしても、絶対に倒壊しないという訳ではありません。想定外の揺れや度重なる余震を受け続ければ、ちょっとした揺れでも倒壊する可能性は高まります。

住宅の耐震化の推進が必要である事は疑いようがありません。しかし、大きな地震にあったら建物を過信せずに、早めに更に丈夫な建物や安全な場所に避難する事が大切だと思います。

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