昨日、中古住宅の購入をお考えの方から、「購入しようとしている住宅の基礎の表面に小さな穴がたくさんあいているが大丈夫なのか?」という電話での問い合わせがありました。
以前、弊社のホームインスペクションガイド「基礎のひび割れに関する記事」を読んでお問合せいただいた様です。
大変ありがたいことなのですが、現場が遠方のためとりあえず写真を送ってもらうことになりました。
コンクリートの表面に小さな穴があいてしまうのは、コンクリートを流し込む際に多量の空気を巻き込んでしまったために生じる気泡が空洞化したもの(ピンホール)で、主に施工不良が原因です。
コンクリートをゆっくりと流し込んで丁寧に締め固めながら気泡を取り除き、さらに2回目の締め固めを行えば穴だらけの仕上がりにはなりません。
建築現場では以前から「コンクリート打ちには魂を込めろ!」などといわれ、コンクリートを打設する際には業種に関係なく現場にいる職人が総がかりで木槌を持ってトントンと型枠を叩いたものです。
特に鉄筋コンクリート造建物の建築現場では、コンクリートの仕上がり具合が施工業者の技術力や施工管理能力を測る「ものさし」になるため、現場監督立ち合いの元で細心の注意を払いながらコンクリートの打設を行いますが、木造住宅の基礎の場合はほとんど基礎工事業者に任せっきりになります。
したがってそれほど難しくない木造の基礎でも、打ち込み時のバイブレーター(振動機)のかけかたなどの施工ミスが起こり、このような不具合が多く見られます。
ピンホールは施工不良が原因で発生するが、建物強度に直接影響を与える可能性は低い!
さて本題ですが、基礎表面に生じるピンホールは見栄えこそ良くありませんが、木造住宅の場合は建物の荷重も小さいため、ほとんどの場合建物強度に大きな影響を及ぼすことはないと思われます。(もちろん程度にもよります)
しかし気泡の深さによっては鉄筋のかぶり厚さが不足してしまうため、中の鉄筋が錆びやすくなる懸念があります。
その場合には、基礎周囲にモルタルを塗ることで解消できます。
またどうしても強度が不安な場合は、シュミットハンマーでの強度測定や基礎の一部をコア抜きして強度確認を行う方法がありますが、コア抜き部分が構造的な弱点になる可能性があるので、まずはシュミットハンマーによる強度測定を行うのが良いでしょう。
いずれにしても必要以上に大げさに考え過ぎないようにしましょう。
ただしこのような軽微な不具合が生じている場合には、現場管理が十分に行き届いていない可能性が高いので、他に重大な欠陥がないかどうかについて十分に注意する必要があります。
一度専門家によるホームインスペクションを受けておくと安心でしょう。
コンクリート基礎表面に生じるピンホール
ある程度のピンホールは避けられないが、締固め不足により気泡が多く発生している例
(写真は電話で問い合わせがあった現場とは別の現場のものです)