千葉県のホームインスペクション専門会社匠住宅診断サービス代表の亀田です。
今年4月に東京都八王子市で、築8年、木造3階建てのアパートの屋外階段が崩落するという事故が発生しました。
施工業者は所有者への説明や補修などの対応を行うことなくすでに破産手続きを開始しているとのことですが、事態を重く見た国土交通省がこの業者が過去に手掛けた241件の共同住宅を調査したところ、少なくとも6件の物件で屋外階段が崩落する恐れがあるとのことです。
これらの物件は事故が発生したアパートと同様に、鋼製の階段部分を木製の梁で支持する構造になっていたそうです。
こうした建物であっても工事着工前には建築確認申請をきちんと行っているはずなので、少なくともその時点では特に支障がないと判断されたものと思われます。
しかしその後の点検不良や維持管理の不良などからこうした事故につながったことも予想されるので、建物には定期的な点検とメンテナンスが不可欠なことを改めて感じます。
建物のことを熟知した人が定期的に点検を行っていれば、この様な事故の発生を未然に防ぐことができたはずです。
また設計・施工者にも、長期的な安全性を良く考慮した上で設計・施工を行うことが強く求められます。
この物件に関しては、明らかにそのような配慮が不足していたと言えそうです。
特にアパートなどの収益物件では、オーナーは建築後の維持管理を全て管理会社等に任せっきりにしてしまうケースが多いと思われるので、十分に注意する必要があります。
管理会社はオーナーに対して定期的に屋根や外壁の修繕を提案するのが一般的ですが、必ずしも十分な建築知識を持ち合わせているとは限りません。
必要と思ったら、建物の専門家に定期的な調査・診断を依頼することが大切なことなのではないでしょうか。
鉄骨階段が崩落した木造3階建てアパート